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けがから復帰の金沢・山藤健太。先発奪還に向けてのビジョンとは
左足関節外側じん帯損傷により、チームを離脱していた金沢の山藤健太が先週末からトレーニングに合流している。オフ明けとなった24日は2部練習で汗を流した。
J2第1節・愛媛戦、第2節・水戸戦に先発した山藤だが、その後は出場機会がなく先発を外れていた。昨季は不動の存在だったボランチが、今季は難しいシーズンを送っている。けがから復帰した山藤は「まずコンディション面、フィジカルのところをいつでも試合に出られるように準備したい」と話した。焦り過ぎずに、状態を整えて競争に挑む。
ただ、「自分たちがボールを保持する時間が圧倒的に少ないので、その辺をうまくコントロールできれば良い」と、自身のプレースタイルをチームに落とし込むビジョンは描けている。
文:野中拓也(エル・ゴラッソ金沢担当)
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区切りの古巣戦を終えて。清武功暉「苦しいときに助けられるFWにならないといけない」
「気の知れた仲間が相手になるというのは僕自身、初めての経験だった。やりにくい部分があるのかなと思ったが、そうゆうのはなくて、本当に楽しい真剣勝負ができた」
21日の前節・熊本戦後、こう語った千葉の清武功暉に、あらためて思い入れのある古巣との対戦を振り返ってもらった。
試合後、「ジェフ側で挨拶をしているときも、『キヨ、キヨ』とすごく呼んでくれた」と熊本サポーターに挨拶に出向くと、温かく迎え入れてくれたそう。「敵であっても熊本の人たちは応援してくれている。個人として活躍しているところを見せないといけないな、とあらためて思った」と気持ちを新たにしたという。
残念ながら“恩返し弾”は持ち越しとなったものの、ここまでの6ゴールはチーム得点王。昨季まで同僚だったFW巻誠一郎からは「『調子良いね。点もよく取ってるじゃん』と言われた」という。
ちなみに、熊本戦の失点シーンは清武のクリアボールが発端だった。副審がオフサイドのフラッグを上げていながら、ゴールが認められた微妙な判定となったが、そのクリアボールに飛び込んだのが熊本の選手の中で最も仲が良かったというMF村上巧。「巧くん(村上)からは『当たったけどね』と言われた」と明かしてくれた一方、「自分のミスから始まったので、本当に反省はしないといけない」とキッパリ。次節以降に向けては「毎試合、コンスタントに(ゴールを)積み重ねていくことが僕にとっては大事。アウェイで(あまり)勝ってないし、苦しいときに助けられるFWにならないといけない」。
自身にとって区切りのゲームを終え、さらなる高みへ視線を向けた。
文・大林洋平(エルゴラッソ千葉担当)
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トゥーロン国際に参加する麻田将吾。「アピールし直す」と視界の先には東京五輪が
第45回トゥーロン国際大会2017のU-19日本代表メンバーに選出された京都のDF麻田将吾が、フランスへの出発を前に燃えている。
U-15~17の年代別日本代表にはコンスタントに選ばれてきた麻田だが、プロ1年目の今季は苦い思いを味わってきた。レベルの高い選手ばかりのプロの世界に戸惑い、「自分のプレーがまったくできない状況」に陥る。同い年のチームメートである岩崎悠人が開幕戦から出場機会を得て、U-20W杯にも順当に招集されたのに対し、麻田は開幕からベンチ外が続き、狙っていたU-20W杯への参加もかなわなかった。
そんな中、7日のJ2第12節・讃岐戦でプロデビューを果たし、クラブでも上り調子の状況で巡ってきたのが今回のトゥーロン国際への招集だ。「久しぶりの代表だし、イングランドとか強いチームともやれる(日本はグループステージでキューバ、アンゴラ、イングランドと対戦)。自分がどれだけできるようになっているのか、すごく楽しみ」と麻田の言葉にも熱がこもる。
世代的には2020年東京五輪で主力となる幸運な世代。麻田も当然、視界の先に3年後の大舞台をしっかり見据えている。「いま、U-20W杯に行っている人たちが頑張っているけど、その人たちにも負けないようにしたい。U-20W杯が終われば、次の競争が始まる。アピールし直せる機会はあるので、まずはその競争に入れるようにしたい」。
麻田は25日の練習を最後に京都を離れてU-19日本代表に合流。その後フランスへ旅立ち、29日(日本時間30日0時)にトゥーロン国際大会グループリーグ初戦のキューバ戦を迎える。
文・写真:川瀬太補(エル・ゴラッソ京都担当)
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「それが自分のスタイルなので」。バルセロナから2ゴールを決めた乾貴士が、C大阪の舞洲グラウンドに
24日午前、欧州から帰国したエイバルのMF乾貴士。リーガ・エスパニョーラの最終節では、カンプ・ノウで優勝が懸かったバルセロナから2ゴールを奪うなど、一躍、時の人となったが、ルーティーンは変わらなかった。帰国したその足で、関西国際空港から古巣・C大阪の練習場へ直行すると、9時半開始の全体練習に姿を現し、軽くボールを蹴り、ランニングで汗を流した。
休む間もなく練習場に姿を現したことについて、「自分のリラックス方法です。休みたいという気持ちがないので。できるときは何かしら体を動かしたい。休む日を作りたくない。休むことが大事だという人もいますし、それは間違いではないと思う。でも、自分のやり方も間違いではないと思うので。自分に合ったやり方があるし、自分自身で見つけるしかない。自分にはこのスタイルが合っていると思っているので、続けているだけです」と話す乾。帰宅前、ファンサービスを終えた後に応じてくれた、ミニインタビューをお届けする。
――もう何度も聞かれたかと思いますが、あらためて、高校生のころから憧れていたバルセロナのホームスタジアム『カンプ・ノウ』で2ゴールを決めた思いを聞かせてください。
「もちろん、うれしかったですよ。初めてカンプ・ノウでやったときは、そこでやることがうれしくて、でも、何もできなかった。達成感がまったくなかった。カンプ・ノウでプレーすることは昔からの目標だったので、少しは達成感があっても良かったと思うんですけど、そのときはまったくなかった。それが何なのかと考えたときに、やっぱり活躍したかった気持ちがあったんだな、と。だから次、カンプ・ノウでやるときは『リベンジしたい』『ピッチに立って何かを残したい』と思っていました。なので、『何か残したい』というところで言うと、2点を取れたことは良かったと思います。でも、ゴールシーン以外で考えると、相手にボールを持たれる時間も長かったし、試合にも負けたので、まだまだ反省すべき点の方が多いと思います。満足はしていないですね」
――優勝が懸かったバルセロナを相手に0-0の状況から2点を先に取って、スタジアム全体が静寂に包まれましたが、その時の空間については?
「本当にシーンとなったので、うれしさがめちゃくちゃあるわけではなく、『えっ? 入ったんかな?』という感じで(笑)。でも、チームメートが喜んでいるのを見て、『ああ、良かったな』と思いました。そのあと、『(カンプ・ノウで決めたのは)日本人初』とか、そういういろいろなもの(映像や記事)を見てから、さらに実感が湧きました」
――ビハインドをはね返すべくギアを上げてきたメッシ選手らと対峙した感想は?
「いや、もう、次元が違いますよ。メッシ、ネイマール、スアレス、イニエスタ。レベルは全然違いました。自分たちは必死でプレーして何とか、という感じの中、彼らは常に余裕を持ってプレーしていますし、レベルの差は感じましたね」
――リーガ2年目の今季について。良いシーズンになりましたか?
「そうですね。結果については悔しいですし、満足はしていないですけど、結果以外の部分ではチームの戦力になれたと思うので、そういうところでは、1年間戦えて、シーズンの最後までスタメンで出られたことは良かったと思いますし、自分の成長にもつながったと思います」
――移籍に関して清武弘嗣選手から相談を受けたときに、何か掛けた言葉はありますか?
「僕から言えることは特になかったです。僕とアイツの状況はまったく違ったので。チーム状況もそうですし、代表に入っている、入っていないもそうですし。そういう立場の違いがあるので、僕から言えることはそんなになかったですね。
でも、僕としては残ってほしかったので、そこは伝えました。ただ、(C大阪に復帰すると)決めた以上、アイツには本当に頑張ってほしいし、結果も出しているので、すごいと思いますね。(リーガで)対戦したかったですし、楽しみにしていた部分でしたけど、そのとき(第4節のエイバルvsセビージャ)は自分がベンチ外で。あそこでスタメンさえ勝ち取っていれば対戦できたので、悔いは残りますけど、もう終わったことなので。また、いつかどこかで、一緒にやるなり、対戦するなり、いろいろな形があると思うので、それができることを楽しみにしています」
取材中には、ユン・ジョンファン監督が乾に「今日、試合(ルヴァンカップ第6節)に出てよ」と声を掛ける場面もあり、「いいんですか?(笑)。出ていいなら!」と応じていた乾。今後も「基本的にはここ(舞洲)でトレーニングを重ねる予定」だという。
“永遠のサッカー小僧”の舞洲帰還により、いまの良好なチームの雰囲気が、より一層、明るくなりそうだ。文・写真:小田 尚史(エルゴラッソC大阪担当)
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[本日のエルゴラッソ1面]南米王者への挑戦状
[FIFA U-20W杯 韓国2017]
■U-20南アフリカ代表 vs U-20日本代表
南ア撃破。世界に示した若き才能の煌めき[明治安田J2第15節 マッチレポート]
■金沢 vs 福岡
“分かっていてもやられる”。それがウェリントン[インタビュー]
■The Future vol.7 MF 17 手塚 康平(柏レイソル)
柏のライジング・サン。2017年、夜明けの年