EL GOLAZO(エルゴラッソ)FLASH NEWS

2017.9.10(Sun)

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  • 「もっと試合に出たい」けど、若手が育つために“伝える”ことも使命。浦和の最年長・38歳、平川忠亮のメッセージ

    「もっと試合に出たい」けど、若手が育つために“伝える”ことも使命。浦和の最年長・38歳、平川忠亮のメッセージ

     自分の特徴を生かしてプレーするということが前提だ。ただ、それだけではない。そのプレーには“メッセージ”がついていた。

     そのメッセージの“送り主”は浦和の最年長、38歳の平川忠亮(写真右)。ルヴァンカップ準々決勝第2戦のC大阪戦。平川は先発出場すると、武藤のゴールをアシスト。チームはアウェイゴールの差で大会を去ったが、平川は今季二度目の公式戦フル出場で十分な存在感を見せた。

     堀孝史監督就任以降、全試合にベンチ入りしていた平川は、より近くで試合を見ることで「クロスが少ない」と感じていた。「良いタイミング、良い形でいろいろなクロスを入れたいというイメージがあった。ドリブルでしかけていくだけがすべてではない。敵が戻り切る前にクロスを上げていくのは一つの形」。その狙いが得点を生んだ。

     9日のJ1第25節・柏戦で堀監督が採用した[4-1-4-1]は平川の本職であるSBがあるフォーメーション。出場機会はさらに増える可能性があるだろうし、「役割のイメージはできている」。ただ、「もっと試合に出たいという気持ちはあるけど、それだけではない」と言い切る。

     それはなぜか。「若いやつらも出てこないとチームは強くなっていかない」と考えるからからだ。

     たとえば同じ右サイドの駒井善成。平川は駒井の突破力を大いに認めている。だからこそ、「ドリブルを生かすためにも全部がそれではダメ」とアドバイスを送る。ドリブルで突破するのもチャンスメークの一つ。ただ、それがすべてではないことを平川はC大阪戦のプレーで体現していた。38歳の自身にとって、若手が育つために“伝える”ことも使命であると考えながら。

     

    文・写真:菊地正典(エルゴラッソ浦和担当)

     

  • 松本戦に向けた“プロレス風煽り映像”での発言について、東京VのGK柴崎貴広が真意を語る

     8日に東京Vが公式SNS各媒体で公開した動画が話題になっている。プロレス愛好者として有名なGK柴崎貴広選手が、10日18時30分キックオフの上位決戦、東京V対松本に向けてコメントしている動画だ。


    https://twitter.com/TokyoVerdySTAFF/status/906133842435620864


     とある練習場のロッカールーム、広報スタッフが柴崎選手にこう声をかけるーー。「9月3日、松本山雅FCのファン感謝デーで松本のGK村山智彦選手が『1万人のサポーターが味スタに』と呼びかけていたそうなのですが…。それに2階席も開けろ、と」。それに対して、プロレスの煽り映像のように柴崎は言い返す。「サポーター、1万人もいるんですか。すごいですね。2階席からヴェルディの勝利を見に来るということで、素晴らしいと思います……(ニヤリ)」。

     この相手を挑発するような発言、もちろんクラブの演出に柴崎が応じた形ではある。「言われてやったことではあります。でも…話したことにウソはないです。勝つことしか考えていないし、勝つためにやっている」(柴崎)。また、相手のブーイングが多ければ多いほどモチベーションになるタイプの選手であることを自認しており、「1万人のブーイング、最高です」という動画内の発言も真実だ。

     ここ6試合でわずか3失点の守備を最後方から支えている柴崎は、普段からサポーターを大事にする、相手へのリスペクトも忘れない温厚な性格の持ち主だ。ただ試合になれば、ひたすら東京Vの勝利のために戦う男と化す。他会場の結果いかんでは、勝てば3位まで浮上できる一戦で、東京Vの守護神がゴール前にカギをかける。

    文:田中直希(エルゴラッソ東京V担当)

  • [書評]読むサッカーvol.42 『J2&J3 フットボール漫遊記』

    「おいでよJ2(J3にも)!」地域に根差した18の物語

     

     おらが町のクラブ――。この表現は、J1よりもJ2やJ3のクラブのほうがしっくりくるのではないだろうか。J1のような華やかさはなく、毎年のように選手がゴッソリと入れ替わるクラブも多い。しかしそのぶん、選手、チームだけでなく、クラブそのものを応援する空気はJ1よりも濃度が上。それは、日々の取材の中でもよく感じることだ。

     本書はスポーツ総合サイト『スポーツナビ』で連載中の『J2・J3漫遊記』からJクラブの物語17篇が抜粋され、さらに横浜FCの章が書き下ろされている。著者は地域リーグに至るまで、フットボールの現場をつぶさに取材している宇都宮徹壱氏。クラブ一つずつが取り上げられた各章は、ある1試合の描写から始まり、選手や監督、クラブ関係者の声、あるいはサポーターなど外部の声をとおして、クラブの現在地を切り取っていく。

     たとえば岡山の章は、クラブが初めてJ1昇格争いを演じた12年のストーリー。当時まだ建設中だった専用練習場が、サポーターの働きかけで実現に向かったエピソードにクラブ愛が満ちている。きっかけは、元ブルガリア代表DFイリアン・ストヤノフが子供用プールで温冷交代浴をする姿が、地元TVで放映されたこと。それを見たサポーターたちが「この状況が続けば、いまいる選手たちもチームから離れてしまう」と危機感を募らせ、3カ月で28万人分もの署名を集めることになる。まさに市民がクラブを育てた一例だ。

     福島の章では、「ユナイテッド、なくなっちゃうの?」と訴える子供の涙で鈴木勇人社長が東日本大震災からの再生を決断したエピソードや、原発事故による農産物の風評被害払しょくに向けたクラブの取り組みなどにも触れられている。

     各章末には付記があり、その後の歩みと比較できるのも興味深い。取材後も紆余曲折を経ているクラブが大半で、J2、J3クラブを運営する大変さをあらためて認識させられる。だが、J1より厳しく、恵まれていない環境だからこそ、クラブには一人でも多くのサポーターの力が必要であり、サポーターにとっては応援し甲斐が出てくる。

     J2担当記者としても、本書の惹句に倣って声を大にしたい。「おいでよJ2(J3にも)!」。

    文:川瀬太補(エルゴラッソ京都担当)

    [書評]読むサッカーvol.42 『J2&J3 フットボール漫遊記』

    著者:宇都宮 徹壱(うつのみや・てついち)
    発行:7月5日/出版社:東邦出版/価格:1,500円(本体価格)/ページ:304P

  • FC東京の篠田善之監督が解任へ

    FC東京の篠田善之監督が解任へ

     FC東京の篠田善之監督が解任されることが明らかになった。今日10日にもクラブが決断する。

     篠田監督は昨季途中に解任された城福浩前監督の後を継ぐ形で就任。昨季はリーグ戦12試合で8勝2分2敗の好成績を挙げ、継続して今季も指揮していた。

     しかし、今季は大久保嘉人や髙萩洋次郎、林彰洋ら多くのタレントを補強したにもかかわらず、チームは低迷していた。9日に行われたJ1第25節・C大阪戦もホームで1-4の大敗を喫し、公式戦5連敗。ここまでのリーグ戦績も9勝6分10敗と負け越しとなっている。

     後任はJFA・S級ライセンスを持つ安間貴義コーチら内部昇格者が確実視される。ただ、今季の残り試合を指揮する立場での就任となり、来季以降の監督人事も同時に進めることになる。今季、悲願のリーグタイトルを目指すべくスタートした篠田トーキョーは、道半ばでの終焉となる。

    文:西川結城(エルゴラッソFC東京担当)