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山形・中山仁斗、恩師・上野展裕監督の教えを守っている? 守っていない?
山形は今節、上野展裕監督就任以降、好調を維持する甲府と対戦する。山形・中山仁斗にとっては、16年に山口で指導を受けた恩師との対戦。鳥取に在籍した15年に上野監督率いる山口との対戦経験はあるが、昨季の山口戦は2試合ともケガで欠場しているため、恩師となった上野監督と対戦するのはこれが初となる。
甲府の試合はまだチェックしていないという中山だが、「僕が山口にいたときは攻撃的なサッカーやった。失点も多かったけど得点も多くて、取られたぶん取り返すみたいなサッカーやったので、攻撃に重点を置いてる気はします」とおおよそのイメージはできている。
その上野監督に、山口時代に言われたことで憶えていることを聞くと、「『肉食ってるか?』と」との返事。食事面の心配をしているのかと思い、さらに聞いてみると、「『はい』と言うと、『豚と牛はやめとけ』みたいな。『鶏を食え』と。『足2本やから鶏を食え。豚と牛は足遅くなるぞ』と。ただし、豚も牛も「バンバン食ってます!」ということで、上野監督の教えは守られていないようだった。
その一方で、いまも守っている教えもある。
「『FWやったらボールが絶対くるから。いろいろなところに顔出して、最後にボールがお前のところにくるから、そこにおってくれ』みたいなことを言われてました」
今週、練習場には、居残りシュート練習で納得いくまでシュートを打ち込む中山の姿がある。このところはベンチスタートや短時間の途中出場が続き、ゴールも9試合遠ざかっている。「僕にとってのJ2初年度に一緒のチームでやらせてもらったので、感謝の気持ちはあります」という恩師の前で恩返しのゴールなるか。
文・写真:佐藤円(エルゴラッソ山形担当)
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横浜FCの中山雄希、手ごたえと悔しさが入り交じる今季初先発
10日に行われたJ2第18節・大宮戦で今季初先発を飾ったFW中山雄希。相手はユース時代に所属したクラブということもあって、相当な高揚感をもってゲームに臨んだ。
配されたポジションはその当時からは考えもつかない左ウイングバック。その、サッカー人生初となる位置でも見せたプレーは堂々たるものだった。サイドでいい形からボールを引き出せば、重心の低い仕掛けも披露。得意の強烈なシュートを打つことはできなかったが、及第点とも言える動きを見せた。しかし0-1で負けていたという状況も影響して、ハーフタイムに選手交代を告げられた。
「もっと出たかったし、もっとできたと思っている。でも、チャンスをもっと作らないといけなかったし、自分の立場を考えると“悪くなかった”ではダメ。何かインパクトを残して、代えの利かない選手にならないといけないし、そうなるチャンスだと思っていた。ただ、そのパフォーマンスを出すことができたかというと出せていなかった。もっと仕掛けられた。ゴールに向かってもっとアグレッシブにいけた。全然満足していない。悔しい思いしかない」
中山は唇をかんだ。それでも45分という短い時間の中で得たものもある。「ひさびさに出たけど、本当に自信もついた。いい形で何度かボールを受けることもできたし、普段あまりやらないポジションだったけど、まったくやれなかったという感覚ではない。ボールを受けることに関しても守備に関しても、何も臆することなくできた。全然やれるなという自信をつかめた試合でもあった」。それはプロ2年目となる背番号15が着実に成長している証だった。
ただ、目指すのは「代えの利かない選手」。個性豊かな選手たちがそろうチームの中で抜きん出るには、巡ってきたチャンスでインパクトを残していくしかない。
文:高澤真輝(エルゴラッソ横浜FC担当)
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大宮GK笠原昂史、古巣・水戸戦は平常心で臨む
「プロ生活を始めて7年在籍した特別なクラブではありますけど、42試合のうち1試合には変わりない。慣れ親しんだピッチなので、特に気負うことなく、平常心でやれるかなと思います」
そう語ったのは、16日の水戸戦で初の古巣戦を迎えるGK笠原昂史だ。今季から大宮に加入し、ここまで16試合にフル出場。チーム状態の良し悪しにかかわらず、持ち味であるシュートストップとクロス対応を安定した発揮してきた。前節・横浜FC戦(4○0)では攻撃陣の爆発に注目が集まりがちだが、1点差の状況で迎えたピンチを笠原が防いだことも大きかった。
ただ、笠原に驕るところは一切なく、チームメートのハードワークを称賛する。
「いまは全員がハードワークして、体を投げ出してでもボールを取る。一つ頑張ることで味方にセカンドボールが転がる。一つ、一歩頑張るということが、またできてきているのかなと思います。(J2第10節から第12節にかけて3連勝したときの)よかったところがまた、戻ってきたのかなという感じです。みんなが意識してやっているということが一番だと思います」
チームとして良い流れをつかみつつある中で迎えるのが、水戸との古巣戦となる。もっとも、「変に力を入れ過ぎる必要もないですし、相手が水戸だからといって僕のやることが変わることはない。いつもどおり平常心で試合に入れればいいかなと思います」と話すように、相手を意識し過ぎて本来のプレーを見失うこともないだろう。あくまで平常心を保ち、いつもと変わらない鉄壁をゴール前に築いて連勝を狙う。
文・片村光博(エルゴラッソ大宮担当) -
ジュニアユースから千葉一筋だった岡本昌弘。愛媛の選手として初めてフクアリへ
ジュニアユースから一貫して千葉(当時・市原)で育ち、そのプロキャリアも16年間千葉ひと筋。そんな愛媛・GK岡本昌弘は今節、アウェイチームの一員としてフクアリのピッチに立つ。
岡本は今季、千葉から期限付き移籍で愛媛に加入。期限付き移籍の場合、移籍元のチームとの対戦で出場できないことが契約条項に含まれることが多いが、岡本の場合はその例に当てはまらず、16日に行われる千葉戦への出場は可能となっている。
「『(千葉側から千葉戦に)出たい?』って聞かれたので、『もちろん』と。出られる試合は何でも出たいし、ましてや人生初のアウェイ・フクアリ。やってみたい気持ちしかないです。相手側からの景色がどういうものかも楽しみ。あと、ひとつ食ってやりたいとも思ってます」
長年過ごしてきたチーム相手に深い思い入れのある場所で対戦するイメージは「想像できなかったです。変な感じでやりづらいかもしれないですよね」と話すものの、「いまは楽しみとしか言いようがない」と喜びのほうが大きく上回っているようだ。
岡本は今季、新天地の愛媛でここまでのリーグ戦全試合にフル出場し、愛媛の守護神として完全に定着。今年5月に35歳を迎えたが、「向上心をなくしたらサッカーをやめるとき」と、いまも成長への意識は失っていない。
「こういう機会を与えてくれたことに感謝しながら、その気持ちをプレーで見せたい」
岡本は愛媛の大きな壁となって古巣・千葉の前に立ちはだかる。
文・写真:松本隆志(エルゴラッソ愛媛担当)
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名古屋期待の星・菅原由勢、憧れの舞台へ
J1史上歴代2位の若さで開幕戦先発出場を果たした名古屋期待の星・菅原由勢が、U-19日本代表ロシア遠征のメンバーに選出された。
ロシアではA代表のトレーニングパートナーも務めるという今回の遠征。ずっと「いきたい、いきたい」と公言していた菅原は、記者の「よかったね」の言葉に「シンプルにめちゃめちゃうれしい」と破顔一笑、夢の舞台を間近に感じられることを素直に喜んだ。
ただし内容に話が及ぶと、もうすぐ18歳になる少年の顔がキリッと引き締まった。「一番大事なのはA代表が結果を出せるようにすること」と、自分も日本サッカー界の一員だという自覚を忘れてはいない。その上で「W杯は幼いころからずっと出たいと口にしていた憧れの場所。スタジアムでその雰囲気を感じられるのは大きいし、自分たちの世代がA代表の中心となったときに生かせるようにいろいろなことを学びたい」と語る。
思い返せば菅原は、去年12月に行われたJ1昇格プレーオフ決勝(J1参入プレーオフ)では、ホーム・豊田スタジアムのスタンドで応援ボードを掲げていたという。それが一転、今季は一気に全国のサッカーファンからも注目される存在となり、4月にはプロ契約を勝ち取るなど、ステップアップを続けている。
ただ、チームはリーグ戦で最下位と結果を出せていない。それゆえ菅原はプロとして、より責任感が大きくなってきていると言う。「チームが波に乗れていないのは確か。そのためにもこのロシア遠征で何かを掴みたいし、ムダなことは一つもないので、常にいろいろなことに敏感でありたい」と、この遠征を後半戦の浮上のきっかけにできればと考えている。
チームで唯一、ロシアW杯を体感する菅原。ロシアの地から何を持ち帰るのか楽しみである。
文・斎藤孝一(エルゴラッソ名古屋担当)
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金沢の田尻健が東口順昭の活躍に刺激。「離れてみるとすごい選手だとあらためて実感する」
11日に25歳の誕生日を迎えた金沢のGK田尻健が、ロシアW杯日本代表の東口順昭に刺激を受けている。
ちょうど去年の今ごろ、田尻はG大阪から金沢に期限付き移籍。今季も移籍期間を延長し、金沢でプレーしている。田尻は「(6月)6日でここにきて1年。今年は去年とは違って試合にも絡めている。手ごたえを感じている中で、もっと試合に出られるようにして、充実した25歳を過ごせるようにしたい」と抱負を述べた。
田尻は今季、開幕から9試合に先発。その後はしばらくベンチスタートとなっていたが、6日の天皇杯2回戦・京都戦に先発すると、3-1の勝利に貢献した。「試合に出ていて、一旦ベンチに下がった中でちょっと気落ちする部分もあったけど、公式戦をできたのであらためて気持ちを切り替えてやれるいい機会になった」。
最近では、ロシアW杯を戦う日本代表に選ばれたG大阪の東口順昭に刺激を受けたという。田尻がG大阪在籍時、ポジション争いの高き壁として立ちはだかったのがほかでもない東口だった。その東口が、12日のパラグアイ戦に先発した。
「やっぱり一緒にやっていたので、ああやって出ているのはすごくいい刺激になる。一緒のチームにいたときはライバルだったけど、いざ離れてみるとすごい選手だとあらためて実感する。近くでやっていた選手には、W杯に出てほしいと思う」と、田尻は率直な胸の内を明かした。
文:野中拓也(エルゴラッソ金沢担当)
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先日、結婚・入籍を発表したC大阪・秋山大地にミニインタビュー。「顔を見るたびに『頑張らなアカン』と力になります!」
現在、トップチームはオフの真っ只中のC大阪だが、何人かの選手たちは自主練として舞洲グラウンドで汗を流している。その中には、今月7日、3月に一般女性と結婚・入籍したことを、クラブを通じて発表した秋山大地の姿もあった。
せっかくなので(?)結婚に至った経緯など、本人にミニインタビューを敢行した。
――ご結婚、おめでとうございます!
「ありがとうございます(照笑)」
――発表が3カ月後になったのは?
「ケガしていたタイミングだったので、しっかり治して、復帰してから発表しようかなと」
――お付き合いは長かったのですか?
「幼稚園から一緒で、家も近所の幼なじみです。(当時は)付き合っていないですよ(笑)。同級生で、幼稚園、小学校、中学校とずっと一緒です」
――いつ、お付き合いに発展したんですか?
「20歳くらいですね。(ひさびさに)会って、徐々に(恋愛に)発展していった感じです」
――結婚を考え始めたのは、いつですか?
「付き合い始めて、わりとすぐに結婚しようとは思っていました」
――このタイミングで決断した理由は?
「去年ずっと一緒にいて、チームとしても個人としても充実したシーズンを送れました。その間もずっとサポートしてくれていたので、『奥さんのおかげもあるのかな?』と思い始めて、そこでもう、早めにゴールを決めました(笑)」
――プロポーズは?
「もちろん、しましたよ!」
――奥様の反応は?
「喜んでくれましたね。びっくりしていました」
――「はい」みたいな?
「(うれしすぎて)『はい』も、言えていなかったです(笑)」
――やはり、結婚されると、より一層、頑張ろうという気持ちになる?
「顔を見るたびに思いますね。今年はケガもして、『頑張らなアカン』と力になります!」
“幼なじみとの結婚”という素敵なエピソードを聞かせてくれた秋山。ケガも癒えた下半期、今季の副主将でもある彼の、より一層の活躍に期待したい。
文・写真:小田尚史(エルゴラッソC大阪担当)