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水面下で動きが続く長崎。週明けから多方面での取り組みが、加速度的に動く見込み
11月24日に安達亮ヘッドコーチ、MF神崎大輔の契約満了が発表されて以来、選手、スタッフの契約に関するリリースがない長崎。最大の理由は来季のJ1、J2、J3各チームが確定していなかったということではあるが、水面下ではさまざまな動きが続いている。
クラブはJリーグ全体の傾向を「クラブ間の格差が進んでいく」と考えており、現在、選手やスタッフといったチームだけでなく、増資なども含めたクラブの運営・経営強化へ向けた取り組みを進めている。同時にJリーグクラブとなって4シーズンの間に浮上してきたクラブ運営の問題点の解消にも動いており、週明け以降から多方面での取り組みが、加速度的に動いていくことになる見込みだ。
当然ではあるが、選手たちへの契約更改意思の有無もすでに通知済みで、複数年契約の選手を含めた一部は、帰省しての来季の準備や、クラブ、サポーター向けのスポンサーイベントに出席、高木琢也監督も同様に長崎でシーズン中はなかなかこなすことができないイベント参加などを行っている。
文:藤原裕久(エルゴラッソ長崎担当)
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「何を第一に考えて選択しないといけないのか」。浦和の槙野智章が広州恒大からのオファーについて語る
槙野智章が中国リーグの広州恒大からオファーを受けていることについて口を開いた。
チャンピオンシップ決勝で鹿島に敗れたことによりクラブW杯出場もなくなり、チームとしての年内最後の活動となった4日、槙野は中国リーグについて、「最近はヨーロッパの名前がある選手も中国に行っている傾向があるし、もちろんお金と思われても仕方ないと思うけど、ACLの結果を見ても中国全体の力が上がっている」と話した。さらに、「いざ自分がそういうところに名前が挙がったことについては真摯に向き合わないといけない」と真剣に考えていることを明かした。
また、広州恒大は槙野だけではなく、ほかの日本代表DFをリストアップしながらも、2002年日韓W杯でブラジル代表を率いて優勝するなど名将ルイス・フェリペ・スコラーリ監督が指名したとも言われている。その件については「選手として評価してもらえるのは本当にうれしいこと」とした。
ただ、「年齢的なこともあるし、自分が何を第一に考えて選択しないといけないのかということも考える。一度ヨーロッパに行って帰ってきている身としては慎重になる部分はある」ことに加え、「このクラブで成長もしてきた」と浦和への思いもある。
現段階では何も決まっていないという槙野。明日からのオフでじっくり検討するようだ。
文:菊地正典(エルゴラッソ浦和担当)
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新潟ラストゲームに臨んだ松原健。「活躍することが恩返しになる」
新潟は3日、新潟医療福祉大との練習試合(45分×2本)を行い、3-1で勝利。約250人のサポーターが見守る中で、今季のトレーニングを締め括った。
来季から横浜FMへの移籍が決まっている松原健も、前半45分に出場。「最後に3年間やってきた仲間とやれてよかった」。試合後は時間をかけてサインや写真撮影に応じ、サポーターとの別れを惜しんだ。
浮き沈みの激しい3年だった。14年に大分から期限付き移籍。豊富な運動量とクロスが持ち味で、開幕から右SBのレギュラーに定着するとリーグ戦31試合に出場。同年8月には日本代表に初選出された(出場はなし)。だが、新潟へ完全移籍を果たした15年4月に右ひざ半月板の手術を余儀なくされ、リーグ戦出場はゼロ。復帰後、16年1月のリオ五輪アジア最終予選はメンバー入りを果たしたが、2月に再び右ひざを傷め再手術。6月に戦線復帰したものの、リオ五輪メンバー入りは叶わなかった。
結果的に、新潟での約1年半をリハビリに費やすことになった。「自分との戦いが続いた」という二度の離脱は心身を成長させた。リハビリ中に鍛えた体は当たりにも強くなり、精神的にもタフになった。シーズン終盤は守備的な戦術の中で、攻撃的な持ち味を殺してでも体を張って役割を果たし、J1残留に貢献した。
「新潟での3年間は、間違いなく自分にとってターニングポイント。これからの人生の中で忘れることはない。ここで得たものを生かして、活躍することが恩返しになる」。選手として、次なる目標は日本代表。新潟への感謝を胸に、新天地での飛躍を誓った。
文・写真:野本桂子(エル・ゴラッソ新潟担当)
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金沢がJ2残留! FW中美慶哉が古巣・栃木相手に2ゴール
4日、J2・J3入れ替え戦の第2戦が富山県総合運動公園陸上競技場で行われ、J2・21位の金沢とJ3・2位の栃木が対戦。2-0で勝利した金沢が入れ替え戦2戦2勝とし、J2残留を決めた。
栃木のホームで行われた第1戦を1-0で勝利している金沢は引き分け以上でJ2残留が決定。一方の栃木は、2得点以上を挙げて勝利しないとJ2に昇格できないという状況下で迎えた大一番。
試合は序盤から一進一退の攻防が続くが、32分、昨季まで栃木でプレーしたFW中美慶哉がペナルティーエリア左で栃木のDF坂田良太に倒されてPKを獲得。これを中美自らが決め、金沢リードで前半を折り返す。
そして迎えた69分、金沢はFW山﨑雅人がペナルティーエリア右の深い位置からグラウンダーのクロスを送ると、これにフリーで合わせたのはまたしても中美。金沢がリードを2点に広げると、直後の71分には栃木のMF宮崎泰右が一発退場となり、栃木は万事休す。
試合はそのまま2-0で終了し、金沢は2年連続のJ2残留達成。栃木は1年でのJ2復帰という夢がついえた。試合後、殊勲の中美は「ホッとしている。自分がゴールを決めたということよりも、チームが勝ったことがすごくうれしい。(PKを)取った瞬間、とっさに『(自分が)蹴る』という気持ちしかなかった。すぐにボールを取って『決めてやるぞ』と。キック自体もダフっていたし、全然思ったとおりのキックではなかったけど、自分が決めるという強い意思があったからこそ、気持ちで押し込めた。(ゴールの)後ろも栃木のサポーターだったし、栃木の選手にも(駆け引きの意味で)ガーガー言われていた。でも、絶対に決めてやるという気持ちが押し込んでくれた」と、決勝点となったPKを振り返った。
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[書評]読むサッカーvol.22 『スタジアムの宙にしあわせの歌が響く街 スポーツでこの国を変えるために』
斜め上を行く企画の数々。日本一有名なJクラブ職員の仕事術
川崎Fのプロモーションを務める著者・天野春果氏ほど、著名なJクラブの職員はいないのではないだろうか。彼が名の知れた存在になった理由はただ一つ。川崎Fがホームゲーム時に見せる斜め上を行く発想からなるイベントが、Jリーグサポーターに衝撃と強い印象を与えたからにほかならない。その天野氏が上梓した本書は11年に同氏初の著書となった『僕がバナナを売って算数ドリルをつくるワケ』の続編に近いものである。
今年、2016年も川崎Fは数々のイベントを開催した。そのどれもが規模感や巻き込む団体の大きさという点で、これまで以上にグレードアップしたように思える。映画『シン・ゴジラ』とのコラボ企画やISS(国際宇宙ステーション)と等々力競技場を結んだ生交信イベントが代表的なものだろう。本書にはそれら二つを含めたイベントがどういった経緯で企画されるに至ったのか、また実際に成功させるために、天野氏が何を考え、どう動いてきたのかが詳細に記されている。そして、中でも見どころなのは多くのプロジェクトを進める中、困難にぶつかった際にどうやって対処をしていくか、という点だ。
これらの企画を進めていく過程にはビジネスにおけるヒントが数多く散りばめられており、プロスポーツクラブがとある企画を成立させるため“だけ”に役立つものばかりではない。例えば天野氏は “自分の願望や思いを口に出して発信し続けること”や、“会いたいと思う人に会うためにさまざまなルートをたどっていく”ということを徹底的にやり続けている。この“行動力”は業種を問わずビジネスシーンにおいて、一つのプロジェクトを加速させ成功させるために必要なことだと、本書を読めば強く感じ取れるに違いない。
天野氏、ひいては川崎Fの成功体験は、“信念を持ってやり続けることが実を結ぶ”ということを示している。これから仕事や学業、スポーツなどさまざまな舞台で目標へまい進する者にとって、背中を押してくれる一冊となるだろう。
文:竹中 玲央奈(エルゴラッソ川崎F担当)著者:天野 春果 (あまの・はるか)
発行:11月2日/出版社:小学館/価格:1,400円(本体価格)/ページ:234P
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J2残留vs1年での復帰。意地の最終戦/ 金沢 vs 栃木
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そこにあるのは求め続けたJ1のイス/C大阪 vs 岡山
[12.4 J1昇格プレーオフ決勝・C大阪 vs 岡山/プレビュー]
■セレッソ大阪
耐え切れなかった決戦から1年。C大阪は“ラスト8分”を乗り越える
J1昇格プレーオフ決勝を4日後に控えた11月30日。練習場のピッチには普段と変わらぬ選手たちの姿があった。過度に入れ込み過ぎる様子はない。「プレッシャーよりも、良い意味で『やってやる』という決意のほうが上回っている」(大熊監督)。
練習では、…続きは…■ファジアーノ岡山
息づく準決勝の成功体験。岡山は“残り15分の勝負”を制す
準決勝で松本を2-1で退け、リーグ戦6位の岡山がJ1昇格プレーオフ決勝に勝ち上がった。準決勝が終わった直後から長澤監督が「まだ何も成し遂げてはいない」と何度も口にしているように、準決勝の勝利は決勝進出の権利を得たに過ぎないが、…続きは…