EL GOLAZO(エルゴラッソ)FLASH NEWS

2016.12.18(Sun)

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  • インカレ決勝で筑波大の2トップが大爆発。強いライバル意識を持つ北川柊斗と中野誠也がハットトリック

    インカレ決勝で筑波大の2トップが大爆発。強いライバル意識を持つ北川柊斗と中野誠也がハットトリック

    インカレ決勝で筑波大の2トップが大爆発。強いライバル意識を持つ北川柊斗と中野誠也がハットトリック

     全日本大学選手権決勝(インカレ)が浦和駒場スタジアムで行われ、筑波大のFW北川柊斗(名古屋U18出身・写真上)とFW中野誠也(磐田U-18出身・写真下)がハットトリック。日本体育大を8-0で下し、筑波大を13年ぶりのインカレ制覇に導いた。

     北川と中野は同学年(3年生)。高校時代、北川は年代別代表に選ばれており、中野は東海プリンスリーグの得点王。大きな期待を背負い筑波大に入学してきた。しかし、1年次は出場機会を得ながら結果を出せず、チームも低迷。名門・筑波大を初めて関東大学リーグ2部に落としてしまった。ただ、その悔しさを糧に彼らは成長。2年後に筑波大を大学日本一に導いた。

     その成長の陰には互いの存在もあった。中野は「(北川とは)本当に良い仲間であり、良いライバルであり、良い関係が築けている」と語る。この試合でも先に中野が2得点を挙げれば、北川がハットトリックで意地を見せ、最後は中野もハットトリックを達成してみせた。それでも試合後、北川はこの試合の活躍に満足せず、「これを続けていかないと。来年も中野選手がいるので」とライバルである中野を強く意識していた。北川はこの試合が今大会初先発。一方の中野は今大会の4試合すべてで得点。大会MVPにも輝いた。北川が危機感を抱くのも無理はないだろう。その関係を小井土正亮監督は「同学年で強いライバル意識を持ってやっている。今年は中野が良かったですけど、来年は北川が出ているかもしれない。良いライバル関係を続けていってほしいですね」と語る。

     来季は二人にとって大学ラストイヤー。「うまい筑波大ではなく、強い筑波大を作っていきたい」(北川)という“筑波の2トップ”から目が離せそうにない。

    文・写真:内田 浩嗣

  • 35年ぶりのインカレ制覇を狙った日本体育大が決勝でまさかの8失点。「これをどう来年につなげていくのか」(鈴木政一監督)

    35年ぶりのインカレ制覇を狙った日本体育大が決勝でまさかの8失点。「これをどう来年につなげていくのか」(鈴木政一監督)

     全日本大学選手権決勝(インカレ)が浦和駒場スタジアムで行われ、35年ぶりの優勝を狙った日本体育大は0-8の大敗。決勝で8点差がついたのは1955年の早稲田大vs東北学院大の10-1に次ぐ記録。悔しさの残る準優勝となってしまった。

     日体大の鈴木政一監督は「リーグ戦で守備の課題がかなりあって、今大会はその修正から入った。その中でチーム力を上げてここまで来られたが、最後のゲームでバラバラになってしまった。そのポジションでやってはいけないことを平気でやって、やらなくてはいけないことをサボってしまった。これがいまの彼らの現状だと思う」と試合を振り返った。来季、横浜FMに加入が内定しているDF高野遼は「自分たちの弱さが出た。試合が進む中でどんどん弱気な気持ちになっていってしまった」と悔やんだ。

     ただ、日体大は関東大学リーグ1部昇格1年目で35年ぶりのインカレ決勝の舞台にまでたどり着いた。高野ら4年生は抜けるが、GK福井光輝(3年)、DFンドカ・ボニフェイス(3年)、FW平川元樹(2年)など決勝のピッチを踏んだ選手も多く残る。「レベルアップできる良い経験をした大会だったと思う。どうこれを来年つなげていくのか、みんなでチーム力を上げていきたい」と鈴木監督は早くも来季をみつめた。

     インカレ決勝での大敗というこれ以上ない屈辱を味わった日体大。来季はこの悔しさを胸に再スタートを切る。

     

    文・写真:内田 浩嗣

    35年ぶりのインカレ制覇を狙った日本体育大が決勝でまさかの8失点。「これをどう来年につなげていくのか」(鈴木政一監督)

  • 筑波大が13年ぶりの冬の大学日本一に。「これもまだ始まりだと思っている」(FW中野誠也)

    筑波大が13年ぶりの冬の大学日本一に。「これもまだ始まりだと思っている」(FW中野誠也)

     全日本大学選手権決勝(インカレ)が浦和駒場スタジアムで行われ、筑波大が8-0で日本体育大に勝利。筑波大が13年ぶりのインカレ優勝を果たした。

     序盤は互いに決定機を作る一進一退の攻防だったが、28分にMF西澤健太が豪快なミドルシュートを決めて先制すると一気に流れは筑波大に。36分にはDF会津雄生のクロスを西澤が頭で合わせ2-0とすると、前半ロスタイムにはFW中野誠也が相手のミスを逃さず追加点を決め筑波大がリードを3点に広げる。

     後半も筑波大の猛攻は止まらず、FW北川柊斗のハットトリックなどで8-0。筑波大が13年ぶり9度目の冬の大学日本一に輝いた。

     2年前に筑波大の監督に就任した小井土正亮監督は「試合をするごとに成長させてもらった大会。やるたびに『こんなことが選手たちはできるんだ』と発見ばかりだった。個人としても、チームとしてもたくましくなっていった」と選手たちの成長に目を細めた。大会MVPに輝いた筑波大の中野は「日本一に向かってずっとやってきたので、それが形になったのはうれしい。ただ、これはまだ始まりだと思っているし、自分はまだ来年がある。来年こそはリーグ戦(関東大学リーグ1部)も、総理大臣杯も、インカレも獲れるようなチームになりたい」とすでに視線を来年に向けていた。

     

     

    ■全日本大学選手権決勝(浦和駒場スタジアム/5,850人)

     

    日本体育大 0(0-3、0-5)8 筑波大

     

    【得点者】

    28’ 西澤健太 36’ 西澤健太 45+1’ 中野誠也 53’ 中野誠也 61’ 北川柊斗 70’ 北川柊斗 80’ 北川柊斗 89’ 中野誠也

     

    ■表彰

     

    最優秀選手賞(MVP):FW中野誠也(筑波大・3年)

    ベストGK:阿部航斗(筑波大・1年)

    ベストDF:小笠原佳祐(筑波大・2年)

    ベストMF:西澤健太(筑波大・2年)

    ベストFW:北川柊斗(筑波大・3年)

    フェアプレー賞:筑波大


    文・写真:内田 浩嗣

  • G大阪のGK東口はビデオ判定に肯定的。「転んだ者勝ちがなくなる」

    G大阪のGK東口はビデオ判定に肯定的。「転んだ者勝ちがなくなる」

     FIFA主催の大会で初めて試験導入されたクラブW杯でのビデオ判定システム。鹿島が南米王者のアトレチコ・ナシオナルを下した歴史的な一戦を市立吹田サッカースタジアムで観戦したGK東口順昭も、PKが与えられたプレーに関しては「僕も全然、気が付かなかった」と観客目線で振り返った。

     試合の流れを決定付けたワンプレーをめぐるビデオ判定についてはサッカー界でもさまざまな意見が出ているが、東口は「ああいうのを(PKに)取るようになればサッカーも変わってくる。僕はペナルティーエリア内のファウルに関しては厳正にやってほしい」と肯定的。そして「守備陣には助かる制度だし、今までなら(ゴール前の攻防で)ちょっと引っ張られたら、転んだ者勝ちみたいになっていたけど、それがなくなると思う」と話していた。

    文:下薗昌記(エル・ゴラッソG大阪担当)

  • [書評]読むサッカーvol.24 『サッカーおくのほそ道 Jリーグを目指すクラブ 目指さないクラブ』

    日本サッカーの原風景をめぐる旅。著者が見付けた各地の“光堂”

     

     日本全国の人々の暮らしを自らの足で調査し続けた民俗学者・宮本常一。司馬遼太郎ら稀代の文筆家から傾倒され、優しくも鋭い眼差しで人々を見つめた。そして、現在のサッカー界に潜む、嘆き、葛藤、情熱、向上心にスポットライトを当てる人物がいる。本書の著者、宇都宮徹壱氏だ。フィールドは違えど、二人が見つめるのは、その土地で暮らす人々の生き様である。宮本常一と宇都宮徹壱。偶然にも似通った語感、その名が刻印された書籍には、必然のノスタルジーが漂っている。

     本書は08年から著者が書き連ねた、日本全国のサッカークラブの縮図である。日本代表、Jリーグという脚光を浴びる華やかなステージと対比するように、地域リーグなどで活動するクラブチームや人々が登場する。そのベクトルが向くのは、華やかな舞台か、あくまで地域か。著者はクラブごとに異なるビジョンをすくい取り、その生い立ちや存在意義を解き明かす。統合を果たせなかった石川の2クラブがあれば、高知の2クラブは現代の“坂本龍馬”がJリーグへの道筋を作った。東日本大震災後の福島に足を運び、Jリーグ入りを目指さない浜松のチームに飛ぶ。資金、サポーターの思い、地域性、バックグラウンド。サッカーと暮らしに内在する複雑な感情を、著者は雅(みやび)に走らない筆致で丁寧に描き切る。かつての宮本常一の眼差しのように、地域のサッカー界を優しくも鋭く見つめている。

     タイトルには『サッカーおくのほそ道』と付いている。俳人・松尾芭蕉の著作に題を借りた本書は、当地の声を聞き、自ら思い、エネルギーを俳句として活写した芭蕉と同じ感覚から生み出されている。芭蕉が残した一句を引用したい。「五月雨の 降り残してや 光堂」。一筋縄ではいかなくとも、地域サッカーには決して崩折れない情熱がある。宇都宮氏が見付けた各地の“光堂”が、本書の中でたくましく息づいている。

    文:小野慶太(エルゴラッソ神戸担当)

    [書評]読むサッカーvol.24 『サッカーおくのほそ道 Jリーグを目指すクラブ 目指さないクラブ』

    著者:宇都宮 徹壱(うつのみや・てついち)

    発行:11月17日/出版社:カンゼン/価格:1,600円(本体価格)/ページ:288P