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“川崎Fの35歳”、日本代表バックアップメンバー選出について口を開く
「『はぁ?』って言ったよ。『なんだそれ!』って」
笑いながらこう話すのは、本日の代表発表の際にハリルホジッチが口にした"川崎Fの35歳"中村憲剛だ。
バックアップのメンバーに入ることについては、庄子春男強化部長から電話で知らされた。「ずっと(選考の)圏外だと思っていましたからね。逆に名前を言わない、35歳と言っているあたりは日本の人たち(選手たち)に『見てるぞ』というメッセージだと思う。今年のプレーを評価してくれていると思いますし、変わらず頑張ります。(バックアップメンバーだけど、)そこにすら今まで入っていなかった。見てくれているんだなというのは、モチベーションも上がります」と素直に喜びを語った。
「A代表でやれるという自信は持っているのか」という質問に対しては、「(自信は)持ち続けていたというか……まあ、自信がなければあの集団には入っていけない。(小林)悠と(大島)僚太が入っている時点でフロンターレのサッカーは評価してもらっている。そういう意味での自信はあります。俺みたいなタイプもあまりいないので」と語り、首位に立つチームの中心選手である自負を露わにした。
これまでハリルホジッチ監督は、2018年のW杯本大会を見据えて選手の年齢に言及することも多かったため、今回はサプライズと言っていい。中村本人にとってもその点は大きいようで、「ちゃんとやっていればそういうふうに評価してくれると自分の中でも確認できた」という。
あくまでバックアップメンバーではある。ただ、衰えを見せることのない川崎Fのバンディエラが、再びジャパンブルーのユニフォームに袖を通す姿を望む者は多いはずだ。
文:竹中玲央奈(エルゴラッソ川崎F担当)
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日本代表に復帰したC大阪のMF山口蛍。「しばらく呼ばれないかなと思っていたので正直びっくりしています」
25日、W杯アジア最終予選を戦う日本代表のメンバーに、C大阪からMF山口蛍が選ばれた。
練習後、取材に応じた山口は、「うれしかったですね。(ハリルホジッチ)監督の言葉を聞いていると、しばらく呼ばれないかなと思っていたので、正直、選ばれたことに自分ではびっくりしています。選ばれたからにはやるべきプレーをしっかりしたい」という第一声を発した。
C大阪に復帰後、日本代表については、「意識していません。J1に上がるまでは選ばれない覚悟はしています。いまは代表どうこうより、チームをJ1に上げないといけない気持ちのほうが強い。代表に関しては、しっかりJ1に上げて、代表に選ばれるべきプレーをしてから戻る、という思いです」という言葉も残していただけに、このタイミングで選ばれたことは、本人にとっても意外だったようだ。
それでも、直近のJ2リーグでは、2試合続けてジャッキー・ボヌベー日本代表コーチも視察に訪れていた。発表会見でのハリルホジッチ監督の「(日本に)戻って来ることに関して評価はしていないが、急に手放すことはない。毎回、A代表では素晴らしいプレーを見せている。蛍のようにボールを奪える選手はいない」という言葉からも、山口に対する期待の大きさはうかがえる。
山口自身、「(Jリーグに復帰することは)自分が決めたことなので。でも、日頃の練習でも、自分の意識一つで変わることもできる。いまは、より自分に厳しくやっていかないといけないという思いでプレーしています。(代表では)自分の良さを出さないと選ばれた意味もない。激しくボールを奪う自分のストロングな部分は、今まで以上に出していきたい」と話す。
今後、28日に行われる天皇杯1回戦・アルヴェリオ高松戦には帯同せず、代表合宿に臨む予定となっている。
文・写真:小田 尚史(エル・ゴラッソC大阪担当) -
“電撃移籍”から1カ月。松本の三島康平、天皇杯でのアピールを目指す
シーズン途中に水戸から松本に加入し、約1カ月が経過した三島康平(写真中央)。今週末の28日に行われる天皇杯1回戦・徳山大戦での活躍を誓ってアピールを続けている。
今季途中までプレーしていた水戸では得点源として不動の地位を確立してきたが、松本ではイチからのスタートとなる。現状は駒澤大の先輩にあたる高崎寛之の存在もあって途中出場が専らで、まだ新しいユニフォームで得点を挙げるには至っていない。「すべてがアピールの場」と話す三島にとって、今週末の天皇杯1回戦は出場時間を延ばすためのチャンスでもある。
対戦相手の徳山大については情報が少なく、その意味で簡単に退ける相手ではなさそう。三島自身も「天皇杯では下位カテゴリーのチームが、上位のチームに勝つことはよくあること。難しさはあると思う」と警戒感を口にする。それでも、「プロとしては何が何でも勝たないといけない」と気持ちを高めている。
加入当初はこれまでとは異なるルーティンに慣れない場面も見られたが、現在は戸惑いもない。「J1昇格へ貢献する」という目標を果たすため、まずは松本での公式戦初得点を狙う。
文:多岐太宿(エルコラッソ松本担当)
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リオ五輪敗退から2週間。塩谷司がいま思うこと
ブラジルから帰国して2週間が経とうとしている。オーバーエイジとしてリオ五輪に出場した塩谷司は、少しずつ気持ちの整理を付けていた。
「五輪から戻ってきて、感じたこと、思ったこと、言われていること、本当にいろいろある。それを全部心の中で整理しながら、自分がレベルアップしてもっともっと良い選手になるためにやっていきたい」。
初めての世界大会で経験した数々のことは「口では説明できない」と塩谷は言う。「あのチームで3週間くらい活動して、実際にあの舞台に立ってプレーした経験というのを言葉で表すことはできない。でも、肌で感じたことはたくさんあった。それをどう自分の中に吸収してこれからにつなげていくか。これから『サッカー選手としてこうしていきたい』、『人としてこうしていきたい』というのがあって、それをいま、自分の中で少しずつ整理を付けている段階」。
25日、ヴァイッド・ハリルホジッチ日本代表監督が発表したロシアW杯アジア最終予選のメンバーの中に塩谷の名前はなかった。「W杯に出るだけではなくて、試合に出て戦おうと思ったら、本当にまだまだ。まずはこのチームを勝たせることからやっていく」。塩谷はリオ五輪で感じたことを胸に、自分と向き合い直して歩み始めている。
文・寺田弘幸(エルゴラッソ広島担当)
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清水MF村田和哉が野洲高の先輩・前田雅文を「神のような存在」としながらも「前ちゃん」と呼ぶのはなぜか!?
清水の天皇杯初戦の相手は関西大に決まった。そのサッカー部を率いるのは前田雅文監督。野洲高を卒業後、関西大に進み、G大阪でプロ生活をスタートした。甲府、草津(現・群馬)でプレーして11年に現役引退。今年から母校・関西大の監督に就いている。
その前田監督のことを、親しみをこめて「前ちゃん」と呼ぶ選手が清水にはいる。野洲高の後輩、村田和哉である。
村田が前田監督のことを知ったのは、まだ中学3年生のころ。野洲高の山本佳司監督が「前田という選手が、この高校を卒業してプロでやっている」と話し、そのときから野洲高の中では「神のような存在で、あこがれになった」と村田は話す。ただ、その「神のような存在」でありながら、「前ちゃん」と呼ぶのはなぜか。
「一言でいうと、サッカー小僧」
前田監督は大阪学院大学のコーチ時代も、大学の休みである月曜日になると、はるばる野洲高までサッカーをプレーしに来ていたそう。オフシーズンも野洲高でサッカーをやっており、そこで村田も一緒に楽しんだ。フレンドリーな性格もあって、年の離れた村田でも気さくに話してくれたようだ。
その“前ちゃん”が率いる関西大と対戦する。「こんな感じで対戦するとは思わなかった」と村田。プロが大学生を相手にする難しさは、自分が逆の立場であった過去から理解している。“仲間”との対戦を楽しみにしつつも、勝負に徹することは変わらない。
文・写真:田中 芳樹(エル・ゴラッソ清水担当) -
「リーグ戦で好調の波に乗るきっかけを作りたい」。町田の松下純土が天皇杯で昨季の再現を狙う
昨季の天皇杯でベスト16入りを果たす原動力になった町田の松下純土が、今季の天皇杯に向けて意気込んでいる。
町田は昨季の天皇杯でクラブ史上初の大会3勝を記録し、2012年大会以来となるベスト16入りを果たした。その原動力は、普段リーグ戦では出場機会の少なかった選手たち。中でも“出世頭”の一人が、松本山雅FCからの期限付き移籍でプレーしている松下純土だった。
「天皇杯で個人としての自信を付けた」松下は、シーズン終盤のJ3リーグで負傷者や出場停止選手が出た左SBなどのポジションを務め、貴重なバックアッパーとしてJ2昇格に貢献した。「今年の天皇杯でも勝って勢いをつけて、なかなか結果の出ていないリーグ戦で好調の波に乗るきっかけを作りたいと思っている」と松下。もちろん、本人としては、今季の終盤戦に向けて、リーグ戦でのレギュラー争いに食い込むきっかけが欲しいシチュエーションではある。
今季はここまでリーグ戦の出場はわずか4試合。チームの勝利を追求する町田の20番は、“終盤戦の逆襲”を実現するために、天皇杯1回戦・神奈川大戦のピッチに立つ。
文・写真:郡司聡(エル・ゴラッソ町田担当)
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徳島県勢同士が激突する天皇杯1回戦。見慣れた顔との対戦にもヴォルティスに油断はなし
偶然にも徳島県勢同士の戦いとなる27日の天皇杯1回戦。
徳島ヴォルティスの対戦相手は徳島県代表のFC徳島セレステ。FC徳島セレステには木下淑晶、石川雅博、大西孝治、天羽良輔、尾上勇也のように徳島ヴォルティスに在籍していた経験のある選手も多く、徳島県出身の佐々木一輝は「同期の石川と木下とは普段からたまに飯を食いに行ったりしている」と交流を持っている。
見る側としては見慣れた顔同士の対戦になりそうだが、「僕らはJリーグ、相手は地域リーグ。力の差を見せ付けないと駄目」(佐々木)と当然ながら勝利が求められる一戦。例年、ジャイアントキリングがどこかで起きる天皇杯1回戦だが、「気を抜いたら何が起きるか分からない」とヴォルティスに緩みは一切ない。
文・柏原敏(エルゴラッソ徳島担当)
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「常にゲームを意識してやり続けている」。千葉はGK岡本昌弘に今季初先発の可能性
前節の岡山戦では理想的な内容で勝利を収めた千葉。長谷部茂利監督も内容に合格点を与え、今週末から始まる天皇杯でさらなるチームの成熟を目指すことになる。そのため指揮官は「いまやっていることを継続して高めるには、11人ごそっと変えたりはしない」と、ピッチに立つ11人の変更も最小限に留めることを示唆している。25日の紅白戦でも、コンディションに不安を抱える選手以外はほぼベストメンバーで行った。
ただ、例外になりそうなポジションの一つがGKだ。今季は佐藤優也が常にゴールを守ってきたが、今週末のゲームでは岡本昌弘が守護神を務める可能性が大。本人も今季初出場に意欲を示し、「(試合に出るかは)まだ分からないですけど、試合に出られたら頑張ります」と語った。
ただ、不安なのは試合勘。フィールドプレーヤーとは違い、GKは途中からピッチに立つことがほぼないため、実戦感覚は失われやすい。また、今月は予定されていた2度の練習試合が天候不良などで中止になっている点も懸念材料だ。しかし、「常にゲームを意識してやり続けようと思っています。もちろん、ゲームと練習は違うのですが、それでも少しずつ意識ながらやっています」と岡本は話す。
天皇杯1回戦のメンバーがどうなるかは現時点で不明だが、今週末はチーム生え抜きの守護神にも期待をしたい。文:松尾祐希(エル・ゴラッソ千葉担当)
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けが人続々復帰。横浜FC、にぎやかに天皇杯へ
28日に天皇杯1回戦・山形大戦を迎える横浜FCだが、今週の練習はにぎやかだ。津田知宏、小野瀬康介がリーグ戦の前節・清水戦で復帰しているが、今週から市村篤司が全体練習に合流。先週は別メニューだった三浦知良、寺田紳一らも一部合流し、春に右ひざ前十字じん帯断裂で手術しリハビリ中のアン・ヨンハ以外の全員がそろった。さらに今日から、中央大の左利きのDF縣翔平も練習参加している。
「けが人も治ってきたし、今週の練習から意気込みを見て、試していきたい」と、山形大戦に向けて中田仁司監督はメンバーの入れ替えも示唆。「優勝を目指して全力で戦う。それがチームとしてバージョンアップにつながるように」と、天皇杯に向けて意気込みを語った。
文:芥川和久(エルゴラッソ横浜FC担当)
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阿部勇樹、かつての盟友・闘莉王の復帰を歓迎。「僕らの世代がまだまだ頑張っていかないといけない」
阿部勇樹がかつての“盟友”の復帰を歓迎した。
26日、名古屋は田中マルクス闘莉王の復帰を発表。浦和ではもちろん、アテネ五輪や日本代表でもともに戦った闘莉王の復帰について阿部は、「Jリーグがまた盛り上がると思う」と話し、「まだやるとは思っていたし、どこでやるかなと思っていたけどまた日本でやるということでうれしい」と喜びのコメントを添えた。
今季中の名古屋との対戦はすでに終わっているが、「上とか同じ年代の選手も少なくなってきているけど、続けていればまた戦うこともあると思う」と来季以降の再開を楽しみにし、「僕らの世代がまだまだ頑張っていかないといけないし、Jリーグも面白いということを発信していかないといけない」とベテランとしての使命感を感じているようだ。
文:菊地正典(エルゴラッソ浦和担当)
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