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濡れることをいとわず、雨の中での集合写真。これぞ甲府の一体感
9月3日の天皇杯2回戦・大分戦に向けた練習を開始した8月30日、甲府は雨の中、昭和町・押原公園グラウンドでフィジカルトレーニングとコンディショニング中心のメニューに取り組んだ。この日、クラブハウス横のスペースには、「甲州市かつぬまぶどうまつり」(10月1日)の関係者によって、メインイベントのぶどう飛ばしの距離測定シートや横断幕が持ち込まれ、練習上がりの選手にぶどう飛ばし(口に含んで飛ばす)を体験してもらい、告知に一役買ってもらっていた。ただ、台風の影響か強い雨が降ってきて、ぶどう飛ばしのスペースには小さな屋根があるとはいえびしょ濡れに。ダヴィが世界記録の8.72mを大きく超える10mの記録を出すなど、大いに盛り上がったが、一番のハイライトは最後に撮った集合写真だった。
多くの選手はシャワーを浴びて帰ったか、帰る準備をしているころだったが、イベント関係者が「選手と一緒に横断幕を広げて写真を撮らせてもらえないか」とリクエスト。クラブのスタッフがロッカールームの選手に声をかけると、盛田剛平を筆頭にその場にいた選手はわざわざ外に出てきて撮影に協力。一旦中に入ってからまた濡れる外に出てくるのは面倒だと思うが、機嫌よく出てきて写真に収まる選手たち。ヴァンフォーレ山梨スポーツクラブの一員として自分たちがどんな人々にどう支えられているのかをしっかり理解して、感謝しているからこその行動だった。ただ、横断幕で足元が隠れると思っていたのか盛田は裸足、保坂一成はビーチサンダル、松橋優はスリッパなど、足元はスキだらけ。押っ取り刀で駆け付けたこの感じも含めて、”梨山(ナシヤマ)一家”の一体感だと感じた。
文・写真:松尾潤(エルゴラッソ甲府担当) -
鹿島の練習場に戻ってきた石井正忠監督。休養の理由については「チームの一体感がなくなってきてるんじゃないか、という責任を感じていた」
鹿島アントラーズクラブハウスの練習場に石井正忠監督が戻ってきた。26日の練習に出ることができず、27日のJ1・2nd第10節・横浜FM戦(2△2)の指揮を執ることができなかった。
しかし、休養している間に数々の励ましや厳しい声を受け、さらにTV観戦した横浜FM戦で選手が戦う姿勢を見たことで「自分だけ苦しんでるわけじゃない」と回復。29日に行ったクラブの強化担当者である鈴木満常務との話し合いの中で「もう一度、このチームの指揮を執りたい」と申し出て、30日午後の練習から現場に復帰した。
休養が必要になった理由としては、最近の練習や試合で選手同士の口論が増えたことから「チームの一体感がなくなってきてるんじゃないか、という責任を感じていた。そういうのが積み重なった形で、あのときに精神的にかなりなダメージを受けてしまったと思います」と説明。練習を休むことになった26日の前日、金崎夢生の日本代表落選が大きく報じられたことの影響については「ほとんどないですね。私と夢生と話しもしましたし、クラブと夢生も話しをしています。その辺はしっかり整理されている部分だと思ったので影響はないです」と否定した。
今後については、選手を後ろからサポートする形ではなく、先頭に立ってリーダーシップを発揮していくスタイルに変更して、チームを指導していくとのこと。石井アントラーズが再スタートを切った。
文:田中 滋(エル・ゴラッソ鹿島担当) -
清水の大前元紀が全体練習に合流。肋骨骨折の大けがから復帰
6月8日のJ2第17節・町田戦で左第5・6・7・8肋骨骨折および肺挫傷のけがを負った大前元紀が、30日、ついに全体練習に合流した。
この日はミニゲームは回避したものの、5対5のパスゲームなど精力的にこなした。
「3カ月は長かった。サッカーをやりたいという気持ちがまた芽生えた」と大前。時折笑顔を見せながらの練習となった。
ここまで12得点を奪っていて負傷前には得点王だった大前だが、いまではチームメートのチョン・テセに5得点の差をつけられるなど、全体で4位となっている。大前は「お互いに点が取れたら良い」と話すものの、「自分の中で得点王は個人のタイトルとして一番良いもの」と、タイトルへのこだわりは捨てていない。
ここから先、大前、チョン・テセがゴールを競い合うことになると、現在でもリーグ最多得点を誇っている清水にとっては『鬼に金棒』だろう。10番が戻った清水は、リーグ再開後の急浮上を狙う。
文・写真:田中芳樹(エル・ゴラッソ清水担当)
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川崎Fの井川祐輔が左ひざじん帯損傷。今季中の復帰が厳しい状況に
川崎FはDF井川祐輔が川崎市内の病院で検査を行い、左ひざ後十字じん帯損傷と診断されたと発表した。復帰までは4カ月程度を要する見込み。
首位・川崎Fの最終ラインにけが人が相次ぐ中、井川は1stステージ最終節から11試合連続で先発出場が続いていた。
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因縁の大宮戦に臨む横浜FMのMF喜田拓也。「勝って見返すチャンス」
横浜FMは明日31日、ルヴァンカップ準々決勝第1戦・大宮戦に臨む。そしてMF喜田拓也には絶対に負けられない理由がある。
8月13日に行われた2nd第8節・大宮戦に先発出場した喜田は、後半途中に一発退場を命じられた。試合は終盤にDFファビオのゴールで1-1にドローに追い付いたが、自身にとってはプロ生活初めての退場処分となった。試合後は「この試合の結果に納得していない人がいたら、そうなった責任はすべて自分にある」と反省しきりだった。
あれから2週間半と時間を空けずに因縁の大宮戦に臨む。「自分が退場してチームに迷惑をかけた。その相手と対戦できるのは何かの縁。勝って見返すチャンスだと思ってプレーしたい」。その表情には強い決意がにじんでいた。
文:藤井 雅彦(エル・ゴラッソ横浜FM担当) -
讃岐の北野誠監督がFC今治戦で示したJ2のプライド
28日に行われた天皇杯1回戦で讃岐は地域リーグを戦うFC今治に勝利を収めたが、その試合はJ2という上位カテゴリーで戦う北野誠監督のプライドを感じさせるものだった。
実は今治とは今季練習試合でサブ組中心のメンバーで2度対戦しているが、その2度とも敗戦。それだけでも指揮官としては悔しさを禁じ得ない状況だ。当然、天皇杯という表舞台で三度苦杯を喫するわけにはいかず、通例ではサブ組中心で臨むこの天皇杯1回戦でほぼ主力を揃えたことに、この一戦での意気込みの強さが表れていた。
「今治はうまい。でも、個の能力ではウチが上。四国リーグにはミゲルのような大きな選手もいないし、西や仲間のような速い選手もいない。今治をリスペクトはしているが、個の能力で負けたらダメだよと(選手たちには)話した」
結果的に最少得失点差での勝利(1◯0)だったものの、チーム自慢の守備ブロックを組めば今治の侵入をほとんど許さず、攻撃で圧力を掛ければ多くの決定機を生むなど、スコア以上の実力差を見せ付けJ2としてのプライドを守った。
文・写真:松本隆志(エルゴラッソ讃岐担当)
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仙台のMF佐々木匠が右くるぶしを手術し、全治約3カ月
仙台はMF佐々木匠が仙台市内の病院で手術を行ったと発表した。症状は右足関節陳旧性前距腓じん帯損傷で全治は約3カ月程度の見込み。
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天皇杯でハットトリックの鈴木隆雅。熊本戦でも大先輩からのゴール奪取を狙う
21日のJ2第30節・長崎戦でプロ初ゴールを決め、その1週間後の天皇杯1回戦でクラブ史上初の公式戦ハットトリックを決めた鈴木隆雅。たった1週間で目の前に開けた景色が激変し、天皇杯の試合後には「(前所属の)鹿島のチームメートからも連絡をもらってうれしかったし、またやってやろうという気持ちになった」とさらに意気も上がる。
その祝いの連絡をしたチームメートの一人が今節の対戦相手である熊本の守護神・GK佐藤昭大。鈴木からすれば佐藤は鹿島時代からプライベートでもお世話になった大先輩。「(今節で)一緒にプレーできるのも、会えるのも楽しみ」(鈴木)と笑顔を見せるが、「サンちゃん(佐藤)が相手なので絶対に決めたいし、ほかのチームのGKからよりもゴールを取りたい気持ちは強い」と親しいがゆえに調子がうなぎ登りの自身のパフォーマンスを肌で感じてもらいたいという気持ちがある。
元チームメートということで「すごく手足が長いし、良いGK。経験もあるので簡単にはゴールは決まらない」とその手強さは十分にわかっているが、「しっかりコースを狙えば、点が取れないGKはいない。ただ打つのではなく、ゴールにパスを出す意識でやれたら」とすでにイメージはできているようだ。
文・写真:松本隆志(エルゴラッソ愛媛担当)
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東洋大のMF仙頭が京都に加入内定
京都は東洋大のMF仙頭啓矢(21)の来季加入内定を発表した。
仙頭は大阪府出身で、京都橘高から東洋大に進んだ。高校3年次の選手権ではチームメートだった小屋松知哉(21・名古屋)とともに得点王に輝き、昨季は関東大学2部でベスト11にも選出された。
クラブを通じて「サンガは小さいころからよく観ていた、憧れのクラブです。そんなチームでプレーできることを心からうれしく思います。また、京都は自分を人間としてもサッカー選手としても大きく成長させてくれた地であり、その地に恩返しができるように京都サンガF.C.を盛り上げていきたいと思っています」とコメントしている。
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悔しさの残る高知U戦を経て、リ・ヨンジが探す答え
27日に行われた天皇杯1回戦で、予想以上に苦戦した高知ユナイテッドSC戦を受けて、リ・ヨンジが心境を語った。
高知U戦、長崎は最終的に木村裕の2得点で勝利こそしたが、相手の積極的な攻撃と体を張った守備に押されてしまい、今後の戦いへ向けた戦力の上積みができたとは言いがたい戦いをしてしまった。苦戦の理由としては高知Uの健闘以外にも、試合出場機会の少ない選手たちで構成されたチームの試合勘の問題や、立ち上がりにミスが頻発して自分たちで試合を難しくしたことなどが挙げられるが、その内容にはプレーした選手たち自身もショックを受けていたようだ。強気な姿勢と、真っ直ぐな言動で知られるリ・ヨンジも例外ではない。
「すべての人に謝りたくなるような試合だった。トレーニングの紅白戦でサブ組が主力組に勝つことも珍しくないし、自分たちの強さも信じることができていた。だから、結果が出ないときも、人に何を言われても真っ直ぐにスタンドのほうを見て、『俺たちを信じてくれ』と思うことができていた。でも・・・こんな内容ではそんなことは言えない」
同時に、そんな試合をうまく修整できなかった自分への悔しさについて、尊敬する前田悠佑の名を挙げながら、「試合出場が多いほうの自分が、みんなを支えなければならなかった。あの人は、どんなときもそういったことに全力で取り組んで信頼を得ていった。だから、僕はあの人のようになりたいと思った。そして、それができなかった自分が悔しい」とも語っている。
そして、リ・ヨンジは最後をこう締めくくった。
「幸いにも連戦が続く。もう一度、みんなチャンスがもらえるかもしれない。またゼロ・・・いや、マイナスからのアピールになるかもしれないが、やっていくしかない」
試合後、高木琢也監督はチームに必要最低限のことのみを話して、あとはあえて話さずに選手たち自身に考えさせた。もう一度、スタンドへ真っ直ぐ顔を向けるため、リ・ヨンジがどんな答えを持ってくるか。オフ明けのトレーニングを楽しみに待ちたい。
文・写真:藤原裕久(エルゴラッソ長崎担当)
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