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「定着していかないと意味がない」。日本代表に初招集された永木亮太が早期のフィットを誓う
2日、日本代表は6日に行われるロシアW杯アジア最終予選・イラク戦(埼玉)に向けた合宿を開始した。初日は、前日にJ1リーグを戦った選手11人に、海外組の清武弘嗣を加えた12人でのトレーニングとなった。
先月29日に発表したメンバーの中で、初の代表選出となったのは永木亮太(鹿島)だ。今季は湘南から鹿島に移籍し、なかなか先発の座をつかめずにいたが、直近のリーグ戦では4試合連続で先発出場。その活躍が認められ、今回が初の代表招集となった。
「素直にうれしいし、ここを目標にやってきた。ここに入れたことはサッカー選手にとって一番の喜びでもある。ただ、それと同時にここから定着していかないと意味がないと思っている。入ったことだけに満足しないようにしたい」
永木にとっては初の日本代表。重要なW杯アジア最終予選の2試合に向けて、やらなければいけないことは多い。
「海外組の選手はコミュニケーションを一度もとったことがない選手ばかりなので、短い期間で難しいところはある。だけど、特にプレーのところは、練習でみんなに分かってもらえるように全面的に出していきたい」と、チームへの早期フィットを誓った。
メンバー発表の会見では、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督から「しっかりボールを奪える選手」という評価も聞かれた。そのことに対して永木は、「中盤で五分五分のボールをマイボールにしたり、そのボールをしっかり奪い切ったりするところは自分の一番の強み。そこができれば良い評価を得られると思う」と語り、自身の良さを前面に出していく決意を固めている。
昨季まで所属した湘南では主将としてチームをJ1初残留に導いた。そのころから洗練されているボール奪取力と90分間ハードワークを続ける走力に加え、鹿島では新たにボールをつなぐという面でも成長を果たしている。「自分の良さをいかんなく出し切りたい」と永木。28歳の初挑戦は代表に新たな風を吹き入れる。
文:林遼平(エル・ゴラッソ湘南担当)
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追加招集の絶好調・齋藤学、「自分の武器はドリブルだけではない」
2日、埼玉県内で6日に行われるロシアW杯最終予選・イラク戦(埼玉)に向けた合宿を開始した日本代表。先月29日に発表したメンバーの中から、武藤嘉紀(マインツ)と宇佐美貴史(アウクスブルク)が負傷により辞退し、代わりに齋藤学(横浜FM)が招集された。
今季、J1で現在8得点を挙げ、直近のリーグ戦(J1・2nd第14節・甲府戦)ではチームの全4得点に絡む2ゴール2アシストを記録。堂々の代表復帰だ。
いきなり練習初めの円陣で、「ひざにテーピングをしていたら、監督から『なんでキャプテンマークをそんなところにしているんだ(笑)』と言われた」とヴァイッド・ハリルホジッチ監督からの最初の洗礼?を浴びた。
今季は好調をキープ。持ち前のドリブル突破もキレ味が増し、さらに難しい体勢からのファインゴールや好パスでのアシストと、ドリブルだけではない攻撃プレーを披露している。
「一番自分がアピールしたいところは、攻守の切り替えの速さ。ボールを持って仕掛けることに関しては、代表にはうまい選手がたくさんいる。自分の武器はそれだけではない」と、現在横浜FMで体現する引き出しの多いプレーを、代表でも表現しようとしている。
出場の出番が少ない海外組を優先した人選に対して、さまざまな意見が飛んでいるハリルジャパン。しかし、2年前のブラジルW杯のメンバーとして、現地で悔しい経験をしている齋藤は声高にこう話す。
「一つのチームになったら、海外組とか国内組とかは関係ない。個々に良さがあるし、それを出し合って初めて良いチームになる。そういう意味でも、僕は良さを出したい。チームが一つになった上で、自分がプラスに存在になれれば良い」
宇佐美、武藤の不在で、齋藤は日本の試合の流れを変える交代カードとして貴重な存在に浮上した。彼が代表初ゴールを挙げたのは、今から3年前の13年7月の東アジア杯・豪州戦。イラク戦だけでなく、その後に待つ厳しいアウェイ戦でも、絶好調・齋藤はキレあるプレー炸裂させる準備ができている。
文:西川結城(エルゴラッソ日本代表担当)
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清武弘嗣、代表に合流。セビージャでの競争は「レベルが高い。最高の環境」
日本代表は2日、6日に行われるロシアW杯アジア最終予選・イラク戦(埼玉)に向けた合宿を開始した。初日は、前日にJ1リーグを戦った選手11人に、この日帰国した清武弘嗣(セビージャ/スペイン)を加えた12人でのトレーニングとなった。
この日唯一の海外組だった清武は、この夏に移籍したセビージャでは順調な滑り出しをしたものの、直近ではリーグ戦3試合、チャンピオンズリーグ1試合で出番なし。苦しい現状となっている。
「欧州に渡って5年、過去4年間はドイツでは試合に出られない経験をしてこなかった。こういう厳しい環境を自分で選んだので、想定内と言えば想定内ですけど、いざこういう状況になると悔しい」
苦しさを吐露した清武だが、不満を漏らしたわけではない。あらためて、セビージャで体験している経験は貴重であると強調した。
「競争のレベルは高い。ナスリ(元フランス代表)もいるしガンソ(元ブラジル代表)もいる。自分のポジションには7、8人の選手が常にいて、そこで回していくような感じ。いつ誰がベンチ外になってもおかしくない。でもその競争を望んで来たわけですし、最高の環境だと思います」
気持ちを切らすことなく前を向く清武。そして頭の中は、代表戦にしっかりと切り替わっている。
「帰国する飛行機の中でもいろいろと考えていた。先月、ホームでUAEに負けている。(次の)イラク戦もホーム戦ですし、勝ち点1じゃ物足りない。またそのあとの豪州戦も勝ち点1じゃ足りないと思って帰ってきました」
クラブで公式戦出場から離れていることから試合感が不安視されているが、「試合感はすぐに鈍るものでもない。何を持って試合勘が鈍ると言われるのか、僕もよく分からない。さっきも言ったように、試合に出られない経験は僕も初めて。未知ですね(笑)」
最後は笑いを含ませたが、すぐにW杯予選への熱い思いを続けた。
「でも、今回は試合に出たい。W杯を懸けたこの戦いは10試合ぐらいしかない。UAE戦に負けたので、余計に危機感がある。日本代表は絶対にW杯に出ないといけないと周りからも思われているので、常にプレッシャーもある。僕たちも出たいし、みなさんも出てほしいと思っている。その思いを背負って、試合を迎えたい」
厳しい自身の現状を冷静に分析し、下を向くことなく代表に帰ってきた。技術や能力は申し分ない。責任感と強い思いで、清武は苦しいハリルジャパンを支えようとしている。
文:西川結城(エルゴラッソ日本代表担当) -
「国内組の意地とプライドを見せなければいけない」。槙野智章が語るJリーグ代表としての誇り
2日、日本代表は6日から行われるW杯アジア最終予選に向けた国内合宿をスタートした。9月の最終予選をけがで辞退した槙野智章は、強い思いを持って、イラク戦(6日)と豪州戦(11日)の2試合に懸けている。
練習中、常に声を出してチームの雰囲気を盛り上げていた槙野。「(ヴァイッド・ハリルホジッチ)監督から、この2戦の重要性を理解した上で、締めるところと緩めるところのメリハリを意識していこうと言われていた」という槙野は、いきなり指揮官の言葉を体現。練習から明るいキャラクターを前面に出すことで、チームのムードを高めていた。
一方、前回の最終予選をけがのために離脱していた槙野にとっては、今回の最終予選に懸ける思いも強い。「前回はチャンスをいただいた中でけがをしてしまい、非常に残念に思った。だけど、いまの代表チームを外から見た上で、何をしなくてはいけないかを考える時間はあった。それを今回ぶつけなければいけない」。
そして、海外組を含めたコンディション面にも言及。「香川(真司)選手や清武(弘嗣)選手などは世界的に有名な選手だし、僕たちがそこに甘んじているところもあると思う。ただ、コンディションや試合勘に関しては国内組の選手もJリーグを代表して選んでもらっているわけなので、責任と自信は持ってやらないといけない。国内組の意地とプライドを見せなければいけないと思う」と語った。
もちろん4日後に迫ったイラク戦への思いも強い。「(2連戦の)初戦は重要。イラクは個々の能力と非常にフィジカルの強いスピードを持った選手がいるなという印象を持っている。間違いなく難しい時間はあると思うけど、そこでいかにチームとしてまとまることができるかが大事」と語り、6日に待つ大事な一戦に向け気持ちを高めていた。
文:林遼平(エル・ゴラッソ日本代表担当)
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J1復帰を目指す清水、後半ロスタイムに3位・C大阪を逆転。「ここからどれだけ伸びていけるか」(小林監督)
2日に行われたJ2第34節。J1自動昇格圏を目指す3位・C大阪と5位・清水の直接対決は、清水が終盤の猛攻を実らせ、劇的逆転勝利で勝ち点3を上積みした。
一進一退で迎えた71分、右サイドの松田力がファーサイドにクロスを送ると、逆サイドからゴール前に走り込んだ酒本がヘディングで合わせて先制点。しかし清水は途中出場の北川航也が89分に同点ゴールを決めると、後半アディショナルタイムの94分に白崎凌兵(写真)が強烈なミドルシュートを叩き込んで逆転に成功した。
「残り9試合。この試合も大事だったが、ここからどれだけ伸びていけるかが大事」と小林伸二監督。前節は2位・松本との一戦で敗れたが、上位対決が続く中、きっちりと切り替えて連敗を避けた。自動昇格圏となる松本との勝ち点差7をキープし、J1復帰に向けて再びギアを上げていく。
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[書評]読むサッカーvol.14 『一流プロ5人が特別に教えてくれたサッカー鑑識力』
5人のプロ目線による観戦法。あなたの“見方”は?
これほどまでにさまざまな角度からサッカーの“見方”を考察した本が今までにあっただろうか。
本書では川崎Fに所属する中村憲剛、Jリーグでの監督経験が豊富な城福浩氏、いわきFC代表取締役の大倉智氏、サッカーアナリストの白井裕之氏、イビチャ・オシム元日本代表監督の通訳を務め、現在は秋田の監督を務める間瀬秀一氏という、分野は異なるがそれぞれの形でサッカーに携わる5人のプロの“目線”からサッカーの“見方”や“観戦の仕方”を紐解き、提示している。
現役選手、監督、クラブ経営者、アナリスト、監督・通訳と、「サッカーを観る」と一口に言っても、その見方はそれぞれ違う。中でも面白いのは経営者の視点でサッカーを観ている大倉氏の話だ。
元・湘南代表取締役社長でプロセス主義の大倉氏は「試合を観る際に一貫している基準は面白いか、面白くないかだけ」と話し、「お客さんが沸くシーン=面白いシーン」と断言。さらに、「選手たちと同じ目線で観たいから」という理由で、ピッチレベルで試合を観ることにしているという。そして、その視線の先にはチームの勝ち負けにこだわらず、サッカーという“商品”の魅力を、お客さんや世の中という“消費者”にどう伝え、どうリーグを盛り上げていくかを日々考える男の熱い思いがある。
インターネットが急速に発達し、四六時中どこにいてもサッカーの情報を手にすることができるようになった現代では、パソコンやスマートフォンなどで好きなときにサッカーの試合が見られるようになっている。
しかし、本当にそれでサッカーを見ていると言えるのだろうか。スタジアムに足を運び、生で試合を観戦することでしか得ることのできないものはたくさんあるはずだ。サッカーの試合を生で一度も観たことのない人はもちろん、最近サッカーを観ることにワクワクできない“倦怠期”の人たちにこの本を手に取ってもらいたい。そしてこれを片手にスタジアムに赴き、自分なりのサッカーの“見方”を探求してみてはいかがだろうか。
文:須賀大輔(エルゴラッソ柏担当)著者:大塚 一樹(おおつか・かずき)
発行:6月22日/出版社:ソル・メディア/価格:1,600円(本体価格)/ページ:240P
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プライドを懸けた東京クラシック/町田 vs 東京V
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譲れない自動昇格。求められるエースの一撃/C大阪 vs 清水
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日本代表、負傷の武藤&宇佐美の代わりに斎藤学を招集
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「3年過ごしたチームなので対戦は楽しみ」。東京Vの平智広が古巣・町田戦を前に意気込み
町田との“東京クラシック”を迎えた東京V。前回対戦では0-1で敗れていることもあり、この一戦はクラブの威信にかけて負けられない。古巣対決に静かに燃える平智広が意気込みを語った。
ホームで行われた3月の一戦。平はベンチ入りこそしたものの、出場機会は訪れなかった。平は「まだそこまで信頼されていないなんだと感じて、そのときはしょうがないと思っていた」と当時を振り返る。だが、その後は徐々に出場機会を増やし、現在はCBの一角を担うほどに成長した。井林章とのコンビについても「試合をやっていくうちに連係などはできてきている。しっかりはじき返したり、声で周りを動かしていきたい」と、さらなる連係の強化を目指している。
今回の一戦に向けて「特に野津田でやることに緊張はしないけど、(町田は)3年過ごしたチームなので対戦は楽しみ」と思いを込める平。東京クラシックという大一番で、勝利をもぎ取るパフォーマンスが見られるかに注目だ。
文:林遼平(エル・ゴラッソ東京V担当)