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4位をあきらめない京都の堀米勇輝。そして狙うはキャリアハイの得点数
6日の熊本戦(2○1)で勝利を収め、残り2節を残して6位以上が確定し、J1昇格プレーオフへの進出を確定させた京都。現在の順位は5位で、一つ上のC大阪との勝ち点差は『6』。ここから順位を浮上させられる可能性はわずかだが、選手たちはもちろんあきらめていない。熊本戦で2ゴールを演出した堀米勇輝は、「(残りの2節で)2連勝したら、もしかしたら上にいけるかもしれない。プレーオフは決まったけど、順位は一つでも上のほうが良いに決まっている。上だけを目指してやっていきたい」と熱を込める。
堀米にはシーズン得点数の更新にも期待が懸かっている。今季の得点数『7』はチームトップだが、あと1ゴールで愛媛に所属していた14年に記録している自身最多の8ゴールに並ぶ。「(得点数は)意識はしているけど、優先順位を間違えないように、得点の確率の高いプレーを判断したい。でも、狙えるときにはどん欲に狙っていく」と話し、キャリアハイ達成にも意欲を見せている。
文・写真:川瀬太補(エルゴラッソ京都担当)
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11日のオマーン戦で代表デビューを狙うFW久保裕也。「今回は代表に選ばれて、素直にうれしかった」
12年2月以来、約4年半ぶりに日本代表に選出されたFW久保裕也(ヤング・ボーイズ)が、リオ五輪欠場の悔しさを胸に代表デビューに挑む。
今回、FW勢の中で新顔となった久保。11年から13年まで京都でプレーし、その後スイスのヤング・ボーイズに移籍。今季で4シーズン目を迎える中、現在公式戦10得点を挙げるなど好調さを買われての代表招集となった。
今夏、リオ五輪を戦ったU-23日本代表。久保は当初、チームのエースとして出場する予定となっていた。しかし、所属クラブにけが人が続出した影響で、大会直前になって出場を断念せざるを得なかった。
「すぐに気持ちを切替えるしかなかった。あとは日本代表を目指すしかなかったので、それに向けてやっていたのは事実です」
あまり口数が多いタイプではない久保。ぶっきら棒には話したが、シンプルな語り口は余計に覚悟の思いを強調した。
京都時代の12年に、アルベルト・ザッケローニ監督率いる代表に一度招集された経験を持つ。しかし、その時は国内組だけのチーム構成となっていた。
「今回は代表に選ばれて、素直にうれしかった。チームで結果を出しているから呼ばれたのかなと思います。4年前は国内組だけだったけど、今回は海外組も含めた代表なので、また違いますね」
そう語る久保本人も、今回は海外組として初めて代表に合流している。かかる期待は、あらためて大きい。
ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は会見の席で、久保を「2トップが合う選手」と評していた。その評価に対しては、冷静にこう話した。
「どういうシステムであれ攻撃的な選手なので、どこからでもゴールを狙うどん欲さを見せていきたい。2トップのほうが良いという自覚はあまりない。いま、チームが2トップなのでそう思われているのだと思う」
久保の特長の一つはシュートのうまさ。サイドでも前線でも、積極的にゴールを狙っていく考えを示した。
出場できなかったリオ五輪代表に招集していた手倉森誠監督は、現在代表コーチを務める。今回はひさびさの再会となったが、「テグさん(手倉森コーチ)からは『代表でも積極的にガンガン行け』と言われた」と言われた久保。まずは11日のオマーン戦で、代表初出場を狙う。
文:西川 結城(エル・ゴラッソ日本代表担当) -
C大阪の茂庭照幸が全治3週間の負傷
C大阪は9日、DF茂庭照幸(35)が大阪市内の病院で検査を受けた結果、右大腿二頭筋損傷で全治3週間と診断されたと発表した。
茂庭は6日のJ2 第40節・愛媛戦に先発出場していたが、29分に負傷交代していた。
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長崎がオランダの名門・フェイエノールトとの提携を発表
9日、V・ファーレン長崎は平戸オランダ商館(長崎県平戸市)で、オランダ・エールディヴィジ所属のフェイエノールトとの業務提携を発表した。会見にはフェイエノールトのギド・ヴァドール国際部長、黒田成彦平戸市市長、服部順一V・ファーレン長崎取締役/GMが出席。
業務提携の内容は、ユース年代の向上(強化育成)、指導者ならびにタレント養成を目的とした戦略的パートナーシップとされ、具体的には「オランダおよび日本における指導者及びタレント養成」、「遠征ツアー、クリニック、ワークショップ、長崎における監督・指導者に対する研修実施」、「トレーニングプログラム、組織運営等、両クラブ間におけるノウハウの提供」が行われる予定となっている。
フェイエノールトのギド国際部長は、今回の提携がクラブ間だけでなく、長崎とロッテルダムの交流、相互発展の礎となることに強い期待を述べ、V・ファーレン長崎の服部GMもフェイエノールトとの提携を決断した経緯として、「同じ港町であり、街が同じような成り立ちをしている」と挙げているように、クラブ間の業務提携という枠を超えたものにしていきたいという思惑が感じられた。
文・写真:藤原裕久(エル・ゴラッソ長崎担当)
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「自分が上に登り詰めたいという思いがあった」。長友佑都が若手に”ギラギラ”を要求
日本代表のDF長友佑都が、停滞気味の代表に“ギラギラ感”の必要性を説いた。
9月から始まったロシアW杯アジア最終予選。長友は9月の2試合は負傷でメンバー外となり、10月の2試合は1試合目のイラク戦は負傷で欠場。さらに試合翌日の練習中に脳しんとうを起こし、チームを離脱。豪州戦は不在となってしまった。
11日の親善試合・オマーン戦でプレーすることになれば、実に6月のキリンカップ(ボスニア・ヘルツェゴビナ戦)以来の出場となる。そう、女優の平愛梨さんとの交際が明らかになった“アモーレフィーバー”以来の登場となる。
「代表戦に出ていても出ていなくても、チームに貢献することは忘れずにやってきた。今回も大事な予選の試合(15日・サウジアラビア戦)があるけど、まずはその前のオマーン戦で良い結果を出さないといけない」
今季、所属先のインテルでは新たに就任したフランク・デ・ブール監督のもとではなかなか出番を与えられずにいたが、10月に代表を離脱しチームに戻って以降は、徐々に出場機会を増やしていた。そんな中、デ・ブール監督が解任され、新体制でチームはスタート。長友は直近のリーグ戦での出場はなかったが、11月3日のEL・サウザンプトン(イングランド)戦では先発出場を果たした。「インテルでも試合をこなしているので、コンディションは問題ない」と本人も語った。
少し代表戦から離れた時期が続いた長友。あらためて、冷静にチームを見つめて感じることがあったという。
「プレッシャーもあるけど、以前よりも躍動感や勢いが落ちているのかなと思う。どこか、怖いものなしの躍動感やメンタルも作っていかないといけない。若い選手も、もっともっとガツガツやってほしい。自分が中心になるという、“ギラギラ”したメンタルを持ってほしい。僕や(本田)圭佑や岡崎(慎司)は、自分が上に登り詰めたいという思いがあった」
当然、外野からの意見というわけではない。もう一度代表を上昇気流に乗せるためにも、自分の奮起が不可欠だと語る。
「ブラジルW杯後のここ1、2年で躍動感のなさを感じる。もちろん良い試合もあったけど、全体的なテンションが上がっていない。僕らも経験からくる落ち着きも必要だけど、もっともっと自分たちが“ギラギラ”したものを出さないといけない」
イタリアでは左右両SBとしてプレーする長友。相手との激しい1対1は日常茶飯事だ。「1対1に勝たないと話にならない。体の入れ方、間合い、こればかりは経験も大事なる」。
ひさびさの代表戦ピッチを踏む長友。自身の経験を生かしたプレーと、ギラつくように勢いづくメンタルで、左サイドを疾走する。
文:西川結城(エルゴラッソ日本代表担当)
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山形をプレーで鼓舞し続ける、仕事人・山田拓巳
前節・長崎戦でヒーローになったのは、0-0の後半ロスタイムにプロ初ゴールを決めたルーキー・永藤歩。だが、永藤の市立船橋高の先輩、山田拓巳もそれに負けない貢献度の高いプレーを見せていた。
山形が長崎のブロックを崩し切れず、疲労も重なり徐々に動きが停滞していた74分、山田はアルセウのフィードに反応して右スペースに飛び出すと、相手を振り切ってクロス。これはニアで引っかかったものの、こぼれ球に即座に反応し、相手と体をぶつけて競り合いながら、サポートに位置にいるアルセウにパスを戻した。
マイボールで味方につないだとは言え、クロスは味方に届かず、最後は後ろ向きに預けることになったプレーは直接相手を脅かすものではなかった。それでも、ボールに執着するプレーは、チームには強烈なメッセージを放っていた。プレーを振り返り、山田が言う。
「自分の仕事はそういうところだと思う。ちょっと(チームが)疲れてきているなという時間帯に少しでもスイッチが入るきっかけだったり、誰かがちょっと頑張って前に行くことだったり、迫力あるプレーすることでもう1回スイッチが入ると思うので」
このワンプレーをきっかけに、山形は動きを取り戻し、永藤の決勝ゴールまでの流れを作った。これで21位との勝ち点差は『6』。
「ホッとしてはいけないんですけど、プレッシャーからやっと解放された感じはある。すごい大きな1勝だった」
苦しいときこそ身を削って走り切る山田の存在は、いまのチームに欠かせない。
文:佐藤円(エル・ゴラッソ山形担当)
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千葉の選手たちが千葉駅で精力的にPR活動
9日、千葉の選手たちがホーム最終戦のPRを行った。
12日に行われるJ2第41節・札幌戦に向け、千葉駅にて17時から45分にわたって行われたこの活動。スタジアムに足を運んでもらうべく、選手たちがビラを配り、精力的に声掛けを行った。また、駅構内にはオフィシャルグッズの臨時売店を設置。その1日店長を井出遥也と町田也真人が務め、サポーターが長蛇の列を作っていた。
10月31日に蘇我駅で行われた同様のビラ配りに続き、この日も参加した岡本昌弘は「知っているサポーターもたくさん来てくれたけど、ただ通っている人にも興味を持ってもらえたら」と話す。そして、「こういうことを行って、一人でも多くの人にスタジアムに来てもらいたい」とも語り、新たなサポーターがフクアリに足を運ぶことを望んでいた。
明後日に迎える今季のホームラストゲームは、J1自動昇格を狙う札幌と対峙する。「ホーム最終節なので、しっかりとサポーターの皆さんに良い試合を見せて勝ちたい。そして、(J1自動昇格が懸かっている)札幌を足踏みさせたいですね」と、岡本はサポーターに勝利を届けることを誓う。自ら声掛けを行っただけに、負けるわけにはいかないはずだ。
文・写真:松尾祐希(エル・ゴラッソ千葉担当)
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前節、復帰戦を飾った柿谷曜一朗。今節は先発の可能性も浮上
他会場の結果、前節・愛媛戦(1〇0)の試合開始前にJ1自動昇格の可能性が絶たれたC大阪。J1昇格プレーオフを勝ち抜くという新たな目標に向けてのスタートとなった一戦は、7試合ぶりの完封勝利に加えて、けがで長期離脱していた柿谷曜一朗が23試合ぶりに復帰する明るい話題もあった。
その柿谷だが、9日の練習の中で行われた紅白戦では主力組の1トップに入った。
大熊清監督は柿谷について「まだ状態を確かめつつやっているところもあるけど、(主力組の中で)時間を重ねることが重要。プレーオフに向けてどういうやり方で勝負するのかというところも見極めたい。(柿谷は)得点だけではなく、アシストもできるし、カウンターの脅威も増す。前で落ち着きが生まれることで、守備の負担も減る。いろんな相乗効果がある」と話す。
公式戦に復帰したばかりの状態ではあるが、12日の東京V戦で柿谷が24試合ぶりに先発復帰する可能性も出てきた。
また、直近のリーグ戦2試合を欠場した山下達也も今週から復帰。「リセットして、フレッシュな状態で戻ってきた」(大熊監督)と、今節での先発復帰が濃厚だ。
文:小田尚史(エルゴラッソC大阪担当) 写真:齊藤友也
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高木大輔が引退の常盤聡について語る。「心配になるくらい天然。いろいろな意味で衝撃を受けた」
8日、元東京Vの選手であり現在は群馬に所属する常盤聡が、今季限りで現役を引退することを発表した。そんな常盤の引退に「正直びっくりしたし、嘘だと思いたかった」と思いの丈を語ったのは、13年から2年間ともにプレーをした高木大輔だ。
当時を思い返しながら、高木大は「すごく変わっている選手だなと思った」と常盤の印象を語る。
「自分の体に対してすごく繊細な人。それでいて、ときどき『えっ!?』と思うプレーをする(笑)。『100』か『0』か、みたいなものを感じることが多かったですね。でも、やっぱり点を取ったあとのバク宙は忘れられない。あの顔であんなことしていたら反則ですよ(笑)。いろいろな意味で衝撃を受けた選手です」
プロ選手としての常盤に衝撃を受け、多くのことを学んだ高木大。ただ、その一方で普段の常盤は“ド”が付くほどの天然だと言う。
「心配になるぐらい天然なんです(笑)。一番覚えているのはアウェイの遠征に行ったとき。ホテルでバイキング形式の食事をしようとしているときに、トキくん(常盤)が『おつかれ~』みたいな感じで、ふざけて並んでいたオレの前に入ってきたんです。それでトングを使ってお肉を持ち上げた瞬間に言うんです。『あれ、オレお皿持ってないじゃん』って(笑)。『いや、それは嘘でしょ』って言っちゃいましたよ(笑)」
こんなエピソードが出てくるのも常盤の人柄ならでは。「変わり者過ぎるところもあったけど(笑)、一緒にプレーできて楽しかった」と語る高木大。「やっぱり寂しい。またどこかで会えると思うので、そのときを楽しみにしたい」と次の再会を心待ちにしていた。
文・林遼平(エル・ゴラッソ東京V担当)
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2年連続J2残留争いを戦う金沢の中美慶哉。固い決意で残り2試合に挑む
金沢は前節・千葉戦、前半に先制したものの、78分、90分に失点。逆転負けを喫し、J2最下位に転落。今節、21位・北九州と20位・讃岐が勝ち点を『40』に乗せ、金沢が敗れた場合、得失点差を考慮すると事実上のJ3降格が決定する。今節・横浜FC戦で勝ち点1以上獲得できれば、最終節まで最低でもJ2・J3入れ替え戦に回る可能性は残る。
昨季栃木で残留争い、J3降格を経験した中美慶哉は「ずっと良い試合をしていたけど、ワンプレーで試合を全部変えられてしまうことは去年も経験した。やはりああいう負け方をすると・・・。千葉戦だけではなくて、(第38節の)徳島戦もいろいろな決定機があった中で勝ち切れなかった。千葉戦は前半から良い内容で、ウチのペースでやっていたのに、結局勝ち点が取れない。そういう試合が続くと、『切り替えて頑張ろう』と思っても、精神的には『あの試合で勝っていれば・・・』と誰もが思ってしまう。千葉戦はそのくらいショックが大きい試合だった」と振り返る。
しかし、「サッカー選手として、それでも切り替えて戦わないといけないし、そこは仕事なので次の試合に集中することしか考えない」という。そして、「まだあと2試合ある。全然あきらめムードではない。次の試合に勝てば、状況は変わってくる」と前を向いた。
中美自身、2年続けてJ2降格を味わうつもりはない。「今年は『良い経験をした』という終わり方ではなくて、しっかり結果を残して、”残留”というモノを残したい」。そう語る眼差しは、あきらめとは無縁の固い決意に満ちていた。
(写真は栃木時代の中美慶哉)
文:野中拓也(エル・ゴラッソ金沢担当)
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