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札幌、劇的勝利でJ1昇格王手。清水は松本を抜き、2位に浮上
J2第41節、首位・札幌は千葉と、札幌と勝ち点で並ぶ2位・松本は町田と、上位2チームを勝ち点3差で追う3位・清水は岡山と対戦した。
千葉とのアウェイ戦に臨んだ札幌は、31分に千葉の町田也真人に先制点を決められる苦しい展開。しかし、71分に都倉賢が同点ゴールを決めると、後半ロスタイムに途中出場の内村圭宏が河合竜二のロングボールに抜け出し、右足を一閃。これがゴール左スミに決まり、札幌が劇的な展開で勝利を手にした。
町田とのアウェイ戦に臨んだ松本は、前半に町田の中島裕希、仲川輝人にゴールを奪われ、2点をリードされてしまう。66分に高崎寛之のゴールで1点を返したが反撃も及ばず、無敗記録は『16』でストップ。J1自動昇格に向けて、痛恨の敗戦となってしまった。
ホームで岡山と対戦した3位の清水は、16分にオウンゴールで先制。34分にはチョン・テセがJ2タイ記録となる7試合連続ゴールを挙げて追加点。65分に岡山の豊川雄太に決められ、1点差に詰め寄られるも、このまま2-1で勝利し、勝ち点3を積み上げた。
この結果により、好調・清水がついに松本と勝ち点で並び、得失点差で2位に浮上。また、今節でJ1自動昇格チームは決まらず、J2優勝およびJ1自動昇格は最終節までもつれることになった。
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愛媛の河原和寿が表現する感謝の気持ち。恩師の前でトップフォームを取り戻す
「愛媛に来て、本当に良い指導者に恵まれた。もっと若いときに出会いたかった二人」
河原和寿がそう話す二人のうちの一人は現指揮官の木山隆之監督。「木山さんは僕のサッカー観を完成に近づけさせてくれる存在」と自らを高みに導いてくれた恩師として尊敬の念を抱く。そして、もう一人は今節で対戦する京都の指揮官・石丸清隆監督だと話す。
「僕自身をサッカー選手としてもう一度花咲かせてくれたのはマルさん」
成績不振により12年限りで栃木を追われたのち、愛媛で再出発した河原を指導したのが石丸監督。一時はサッカーを辞めようとさえ思ったほど落ち込んでいた状態だったが、石丸監督のサッカー観に触れ、あらためてサッカーの楽しさを思い起こすことで再び躍動。14年にはキャリアハイの公式戦15ゴールを挙げて完全復活。昨季は指揮が木山監督に変わったが、新たな指揮官も河原の長所を伸ばし、2年連続の二桁ゴール。押しも押されもせぬチームのエースへと君臨した。
しかし、河原は昨季オフにおこなった足の手術後にトップフォームを崩したことで、わずかにズレたフィーリングを取り戻せないままシーズン終盤を迎え今季ここまで2ゴールと苦しんでいる。
「悪いまま(シーズンを)終わらせるわけにはいかない」。残り少なくなったリーグ戦で気持ちがいつも以上に入るのも当然のことだ。
何より、今節の対戦相手・京都の指揮を執るのは自身を復活させてくれた恩人・石丸監督。「感謝の気持ちをピッチの上で真剣勝負の中でぶつけ合えれば」と意気込み。恩師の前で再びサッカーの楽しさを思い起こし、見失ったトップフォームを取り戻しにいく。
文・写真:松本隆志(エルゴラッソ愛媛担当)
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東京V・永井秀樹、引退の意志を告げて「ラモスさんに約1時間説教された」エピソードを明かす
10日、東京Vに所属する現役2番目に年長のJリーガー、45 歳の永井秀樹が今季限りで現役を引退することを発表した。ホーム最終戦となる12日のC大阪戦を前に、引退に対しての思いを語った。
92年にV川崎に入団してから25年目。永井は、今回の決断に至った経緯を説明する。
「一番大きかったのは6月8日の岐阜戦のけが。開幕から約3ヶ月以上出場までに時間がかかった中で、やっぱりラモスさんの岐阜戦は出たかったし、そこに照準を合わせてやってきた。だけど、そこで出られたが、すぐ何分後かにけがをしてしまった。そこからの2日、3日。痛みと格闘している中で考えるようになった。最終的には夏過ぎぐらいに決断しました」
10日にチームのスタッフ・選手を集めて引退を報告した永井。その前日にはある先輩に思いを伝えに行ったという。
「ラモスさんや松木さんには1日前に伝えた。ラモスさんには約1時間説教された。『なんで辞めるんだ?全然できるだろ』と。ピッチ上を見てくれているだけに『やった方がいいよ。辞めるな』というふうに1時間ぐらい話した。でも、自分の決意も割と固かったし、だんだんわかってくれて違う形での激励をもらった」
東京Vでたくさんの人々に感動を与えてきた背番号45。今節のC大阪戦ではピッチに立てるかはわからない。それでもいつもと変わらず準備を怠らない姿がそこにはある。
「やることは変わらないし、いいサッカーをして勝つという永遠のテーマは変わらない。ただ、実際明日ピッチに立ってみると、それはもちろんいままでとは違う。本当に残り2試合の180分で自分のサッカー人生が終わると考えると、たぶん何かしらこみ上げてくる思いはあるのかなと思う」
試合後のセレモニーに関しては、「泣かないように頑張ります」と笑顔を見せた永井。ホーム最終戦はチーム一丸となって勝利を目指す。
文:林遼平(エルゴラッソ東京V担当)
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J2残留へ向けた強い責任感を口にする、岐阜のレオミネイロ
2連勝で残留圏の19位に浮上した岐阜。チーム得点王のFWレオミネイロが、J2残留争いの正念場でゴールを積み重ねている。
現在は3試合連続ゴール中で“3戦4発”の背番号33。一時は最下位に転落してしまったチームだが、その後の第39節・群馬戦(2〇1)で値千金のスーパーミドルを突き刺すと、前節・横浜FC戦(2〇0)では2ゴールを奪い、チームを2連勝&最下位脱出に導いてみせた。今季はここまで12得点。リーグでも断トツのドリブル数と高い突破率を誇る快速アタッカーには相手の警戒も強まっているが、吉田恵監督は、彼の強みについてこう信頼を置く。
「一番は、勝負強いところ。ここぞの場面で、ほぼ得点を決めてくれている。相手にマークをされている中でも、一瞬、相手が緩んだスキを突けるので、状況をよく見ているなと。頑張る選手であり、クレバーな選手。大事な局面、少ないチャンスで決められる。スピードやドリブルはもちろん、その決定力と勝負強さが一番だと、僕は思っている」
そして、記録にも名を刻んだ。昨年の得点数(8点)とあわせて2シーズンで20ゴール目とし、これはクラブの歴代外国籍選手の中では最多得点の数字だ。この“3戦4発”で14年に1年在籍したFWナザリト(17得点)を超え、FC岐阜の“助っ人列伝”にもその名を連ねた。
「記録に残るのは、自分としてもうれしいこと」とレオミネイロ。「チームに貢献したプレーをするのが一番。このままチームに貢献できればいいなと思う」と誓うとともに、J2残留に向けた強い責任感を口にしている。
「岐阜に来たときから、すごく優しくしてもらったし愛着がある。今後のこと(去就)はまだ分からないけど、FC岐阜は下のカテゴリーにいるようなチームではないし、ここに残れるだけのモノはある。サポーターはいつも素晴らしい応援をしてくれるし、本当に価値の大きなクラブだと思うので、みんなで努力をして必ずJ2残留を決めたい」
残留に向けた残りは2試合。最後まで“献身のハートと個”を持ってチームを引っ張っていく。
文:村本裕太(エルゴラッソ岐阜担当)
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青山直晃、タイ・プレミアリーグリーグ・チャンピオンが来甲
甲府のここ4年間の第3次J1時代を振り返ると、守備の堅さが際立ったのは14年(13位・城福浩監督)の31失点。得点数は27ゴールとリーグワースト2位だったが、失点の少なさはリーグ2位タイ。その堅守で少ないゴールを生かして、今季よりも10ポイント多い勝点41を稼いだ。その堅守を支えた一人がDF青山直晃(13~14年在籍)。現在、タイ・プレミアリーグで浦和的な立ち位置のムアントン・ユナイテッドFCでプレーする青山が11日の練習に顔を見せた。10月中旬に帰国して故郷の愛知県で約2週間を過ごしたあと、大阪、静岡、仙台、山形で友人と会うなどして来甲している。妻と6歳の娘も一緒に甲府市内のホテルに泊まっていて、甲府時代の友人に会うことを楽しみしているそうだ。
青山がいたタイでは、国王・ラーマ9世(プミポン国王)が10月13日に亡くなったため、3節を残していたタイ・プレミアリーグは喪に服すために終了。この時点で首位(2位と勝ち点5差)だったムアントンが優勝となり、来季のACL出場権を獲得することが決まった。「タイ・プレミアリーグに挑戦するときに目標にしていたのは優勝(昨季は2位、ACLはプレーオフで敗退)を経験することとACLだったので、少しは近づいたと思います。来季のACLではJリーグの代表チームと戦うのが楽しみです。チームメイトは前回(13年)埼玉スタジアムの印象が良かったようで、浦和と対戦したいと言ってます」という。
タイでもJリーグの中継を見ることができるそうで、今年の甲府のメンバーや戦いについて印象を聞いた。「バウルさん(土屋征夫)、オミさん(山本英臣)がいなければ残留は難しかったと思います。ただ、若い選手がベテランからポジションを奪えていないのか…とも思いますね。来年の甲府は絶対に若い選手の力が必要になると思います」と話してくれた。”若い選手”とは畑尾大翔や熊谷駿のことを意識したコメントだと思うが、熊谷が古巣の横浜FM戦で中澤佑二と競り合ってプロ初ゴールを決めたことも知っていて、「来年、熊谷はFWなんですかね、DFなんですかね」ということも気にかけていた。
11月20日から練習が再開されるムアントン。いったん愛知県に戻って、17日にはタイに向かうそうだが、こうやって顔を見せてくれると、甲府の元チームメートもACLではJリーグの代表チームを応援しつつ、ムアントンの青山を応援するという複雑なACL観戦になりそうだ。ムアントンとの契約はもう1年残っているそうだが、その後はJリーグに復帰する可能性もそれなりにありそうな、「その時点で僕に需要があるかどうか…」ということだったが、甲府のファン・サポーターは戻ってきてほしいと思っているはず。この日、練習場に来ていたファン・サポーターは運よく青山に会うことができたが、丁寧にファンサービスをしてから帰る姿に「アオちゃん、いい人」とあらためて感じた。
文・写真:松尾潤(エルゴラッソ甲府担当)
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親友の引退は「寂しい」。千葉の小池純輝、水戸時代の常盤聡との天然エピソードを懐かしむ
千葉の小池純輝が、水戸や東京Vなどでともにプレーをした親友・常盤聡(群馬)の引退について口を開いた。
初めての出会ったのは中学校時代。違うチームに所属していた2人はある大会で初めて対戦し、ともに2、3点を奪い合ったことから互いを意識するようになったという。その後は選抜チームなどでも顔を会わせるようになり、プロに入ってから水戸で2人は初めて同じクラブに。そこから親交を深めていくと、オフには2人で韓国へ旅行に行くほどの仲となった。
そんな小池に常盤との思い出を尋ねると、天然キャラの話しかないとのこと。中でも水戸時代のエピソードは強烈だったらしく、「試合前か試合後だったか忘れたけど、僕たちはホテルで朝ご飯を食べていた。当然、朝なので眠かったんですけど、常盤はコーンフレークを入れるような少しだけ深い平皿になぜか牛乳を入れはじめて、意味が分からなかった(笑)」と懐かしそうに話してくれた。
「仲が良い選手なので寂しい。一緒にやりたいという気持ちもあったので」と話す小池。ただ、「たくさん悩んで出した答えだと思うので、次のステージで頑張って欲しい」とも語り、親友の新たな門出にエールを送った。
文:松尾祐希(エルゴラッソ千葉担当)
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柏での試合で柏に前泊! 湘南戦に挑む柏の意気込み
11日、柏は翌日に控える天皇杯ラウンド16・湘南戦に向けて調整を行った。
今季の柏はこれまで、下平隆宏監督が就任以降、ホームゲームの際は前日練習を午後に行い、試合当日にメンバーが集合して試合に臨むことが多かったが、この日は珍しく午前中に前日練習を実施した。
この狙いについて指揮官は「単純に明日のゲームに集中したいということ。今日もいつもなら午後に練習しているけど午前にして、午後の時間はホテルでゆっくり休んで、しっかりと明日のゲームにより集中して迎えられるようにクラブにお願いしました。天皇杯に懸ける意気込みの表れですね」と“前泊”して湘南戦に臨むことを明かした。
今季の最大の目標であるACL出場権獲得に向けて、負けられない4連戦の初戦・湘南戦に、柏は万全を期して挑む。
文:須賀大輔(エルゴラッソ柏担当)
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残留争いの3チーム、キックオフ時間の違いがどう影響する?
2試合を残し、20位の讃岐。キックオフ時間の違いが残留争いにどう影響するか。
今節・長崎戦のキックオフは18時。勝点差2で22位・金沢のキックオフは13時、同じく勝点差2で21位・北九州のキックオフは14時。両者とも讃岐がキックオフする前に、今節の試合を終えている。「ほかの結果がどうであれ、自分たちが勝たなければ何も意味がない」(高木和正)ことに変わりはないが、状況によっては自動残留が確定する可能性もゼロではない。
良くも悪くも他チームの結果が分かっている状況で臨むことになる一戦。このプレッシャーを味方に付けられるかどうかがカギだ。
文:柏原敏(エルゴラッソ讃岐担当)