-
仮想・豪州。吉田麻也がボスニア・ヘルツェゴビナ戦を重視する理由
日本代表DF吉田麻也が、キリンカップ決勝ボスニア・ヘルツェゴビナ戦を“仮想・豪州戦”となる重要な一戦と位置付けた。
9月から始まるロシアW杯アジア最終予選。グループBに入った日本の最大のライバルは、長身選手が数多くそろう豪州。過去に何度も相手の高さに泣かされてきた日本にとって、今度こそ豪州超えを成し遂げなければならない戦いが始まる。
決勝で対戦するボスニア・ヘルツェゴビナのデンマーク戦での平均身長(先発選手)は、187.3cm。ブルガリア戦での日本の先発選手よりも約10cmも高いことになる。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督もこの試合にむけて、「ボスニア戦は空中戦が難しくなる。空中戦を支配してくる相手にどんな試合をするかに懸かっている」とポイントを語っている。
吉田は「まだ相手の映像を見ていない」としながらも、高さが武器の相手に向けた対策を語った。
「特別やりづらいかどうかは戦ってみないと分からない。プレスをどう掛けていくか、相手にとって効果的な長いボールを蹴らせないようにしないといけない。あとはいかにセカンドボールを拾い続けられるか。そこは頭を使って戦わないといけない。もちろん解決できるかどうかは、実際にピッチで試合が始まらないと分からない。いつもこういう相手と戦う時は日本が不利と言われるけど、間違いなく豪州も高さを生かしてくるので良いテストになる」
さらに吉田は、ブルガリア戦の後半途中から見られた守備の乱れにも言及。2失点を喫したきっかけになった、守備陣と攻撃陣の統一感のなさをなく必要があると語る。
「点を取ったあとにブルガリアに押し込まれる時間帯がった。その時に、前はプレスに行くけど、自分たちはブロックを作って対応しようとした。そこの使い分けは全員で理解していかないといけない。ただ、そうした共通意識は試合数を重ねていかないといけない」
自身は2得点を挙げながらも、2失点を喫したあとは誰よりも悔しさを爆発していた吉田。苦手な攻撃パターンを繰り広げてくる相手に、今度こそは守備陣全体でタフな対応を実現させ、無失点勝利に貢献する。
文・西川結城
-
今度は原口が輝く番――。キリンカップ決勝で先発か
日本代表FW原口元気が、満を持して代表レギュラー争い参戦を宣言した。
3日のブルガリア戦は70分にMF清武弘嗣に代わってトップ下の位置に入ったが、思うようなアピールができずに失点に絡むパスミスもあるなど、良いところないまま終わってしまった。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は常々、原口を複数のポジションで起用する考えを明かしており、これまでも本職のサイドハーフにとどまらず、ボランチやSBで起用されたこともあった。
ブルガリア戦について、原口が悔しそうに振り返る。
「監督とは個別でもボランチやサイドでのプレーについて話してきた。ただこの前はトップ下での出場だった。自分の中でイメージが持てていなかったし、僕の準備不足だった」
その経験を踏まえて、迎えるボスニア・ヘルツェゴビナ戦。右FWの本田圭佑がブルガリア戦に続いて欠場が濃厚の中、同位置での先発の可能性が出てきている。
「結構読めない監督なので、どこでも出る準備をしておかないと。どこで出ても、最後の仕掛けのプレーをしっかりできれば。圭佑くんの良さは後ろ向きにボールを受けても相手に取られない強さがある。それを自分がやろうとしても難しい。僕はダイレクトではたいたり、スピードに乗って突破したり。前を向いて仕掛けられる。そこは圭佑くんとは違うところ」
本田のコピーではなく、しっかり自分らしさを発揮した上で躍動するイメージを描く原口。「サイドはやっぱりやりたい。トップ下は正直、キヨくん(清武弘嗣)や(香川)真司くんのように前を向けない。そこで勝負するよりも、サイドやボランチのほうがチャンスがある。僕も試合に出たいので」。プレーに飢える原口。それは心の叫びだった。
FWでの起用となれば、ゴール前でのプレーも求められる。そこも現状の自分を冷静に捉えている。
「30~40mの距離で仕掛けられるのが僕の武器。そこで迫力を出せる。でもFWだとゴール前で5~6mの距離で勝負しないといけない。そこのスピードが自分にはまだ足りない。そこは来季、ヘルタ(・ベルリン)で点をもっと取って、『原口は前でもプレーできる』と思わせられるようにしたい。そこは数字だと思います」
大勝の陰で悔恨を抱いていた原口。当然、ボスニア・ヘルツェゴビナ戦に懸ける思いは強い。
「この間の試合は消化不良だった。ここでもう一度、監督の頭の中心に入っていけるプレーをしたい」
本田、香川不在で迎える一戦。前回の清武が見せた輝きを、今度は原口が見せる番である。
文:西川結城
-
「20歳でボスになった」。“勝手に”PKを蹴った浅野にハリル苦笑い
日本代表FW浅野拓磨が、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督に早速イジられた。
3日に行われたキリンカップ、ブルガリア戦。試合終了間際に自らのドリブルでファウルを得て獲得したPKの場面で、浅野がそのまま蹴ろうとすると、ベンチ前のハリルホジッチ監督が本来のキッカーの宇佐美貴史に変わるよう促すジェスチャーを送っていた。しかし、ピッチ内の選手だけでなく、ベンチにいた選手たちも全員が浅野のキッカーを支持。結局指揮官が折れる形でそれを認め、見事浅野は代表初得点を決めた。
この日、2日後に控えた決勝戦のボスニア・ヘルツェゴビナ戦に向けた公式会見が行われ、ハリルホジッチ監督はいつものように熱弁を振るう中、しっかり新生FWのネタに触れることも忘れていなかった。
「(ブルガリア戦で)浅野はすでにチームのボスになった。自分でPKを取って、勝手に決めました。20歳でボスになるなんて、信じられないですね(笑)」
指揮官のコメントを伝え聞いた浅野は、「僕も監督から『もうああいうことはないからな』と言われました(笑)。でも自分はまた(チャンスがあれば)決めたい」と頼もしい言葉を残した。
ただ、実際のプレー面についてはまだまだ課題を感じているようだ。
「監督から特に守備の時に、もう少し相手に寄せないといけないと言われた。そこは普段の練習から意識しないといけない。フィジカル面の強さのところは、まだまだ代表レベルでは自分の課題。攻撃も技術的な部分は海外組の選手たちはレベルが高い。自分はそれだけもっと良さであるスピードを生かして走らないといけない。欲を言えば、もっとどんどん裏のスペースを狙うプレーを繰り返したい」
足りない要素にしっかり目を向けながらも、代表でも随一のスピードでしっかりアピールを狙う。ボスニア・ヘルツェゴビナ戦、今度は浅野が自慢の速さでゴールに向かう。
文・西川結城(日本代表担当)
-
赤い彗星・東福岡、連覇に向けて福岡を突破。静学、滝二なども全国へ名乗り
各地で熱戦が繰り広げられている高校総体の都道府県予選。5日には14府県で代表が決まった。昨季の高校総体優勝校で、選手権との二冠を達成した東福岡は福岡県予選決勝で九州国際大付属を1-0で破り、連覇への道を切り拓いた。
また、静岡の静岡学園、京都の京都橘、兵庫の滝川第二など、強豪校が名乗りを上げる中、長野では市立長野が都市大塩尻を4-1で破り、初出場を決めた。
6月5日高校総体予選結果(太字が出場校)
山形県 東海大山形 0-4 山形中央
福島県 尚志 2-0 福島東
新潟県 新潟明訓 0-1 帝京長岡
富山県 高岡第一 3(4PK3)3 水橋
福井県 高志 2-3 福井工大福井
長野県 市立長野 4-1 都市大塩尻
静岡県 浜松開誠館 0-1 静岡学園
京都府 京都橘 4-2 洛北
大阪府 決勝リーグ1位:大阪学院高 2位:履正社
兵庫県 神戸弘陵 1(4PK5) 滝川第二
奈良県 一条 1-0 郡山
和歌山県 和歌山北 0(1PK4)0 近大和歌山
鳥取県 米子北 6-0 境
福岡県 東福岡 1-0 九国大付
-
熊本に在籍経験のある金沢の廣井。再開後初の九州ホーム試合を迎える古巣を警戒
8日に行われるJ2第17節、金沢は鳥栖のベストアメニティスタジアムで熊本と対戦する。震災後、熊本が初めて九州で行うホームゲームは、かつて2年間、熊本に在籍した廣井友信にとっては古巣戦となる。
「(開催地は)熊本県ではないが、近いので多くのサポーターが来ると思う。良いゲームをして、熊本のみなさんにサッカーの素晴らしさ、楽しさを味わってもらいたい気持ちがある」。中断前も含めると6連敗と苦しんでいる熊本は、「『今度こそ何とかしてやろう』という強い気持ちで臨んでくる」と廣井。
そして、「彼らは復興のシンボルとして、決して心折れずにひたむきに戦ってくる。受けに立たないで、こっちも全力でぶつかっていきたい」と全力プレーを誓った。
文:野中拓也(金沢担当) -
[関西学生選手権]関西大が3年ぶりの優勝。関西王者として全国へ
関西学生サッカー選手権大会決勝が行われ、大阪体育大を3-2で下した関西大が3年ぶり8回目の優勝を成し遂げた。関西大は79分に2-2の同点に追い付かれたが、90分にFW竹下玲王(磐田U-18出身)がPKを決め、3-2で勝利した。関西大はすでに総理大臣杯の出場権を得ており、関西王者として夏の全国大会へ臨むこととなった。■関西学生選手権決勝
関西大 3-2 大阪体育大
【得点】
(関)30' 加賀山泰毅、78’ 加賀山泰毅、90’ 竹下玲王
(大)55' 後藤虹介、79' 大田賢生
■総理大臣杯出場チーム(関西地区)
第1代表:関西大(2年ぶり16回目)
第2代表:大阪体育大(7年連続22回目)
第3代表:立命館大(10年ぶり8回目)
第4代表:びわこ成蹊スポーツ大(4年ぶり2回目)
第5代表:阪南大(3年連続13回目)
第6代表:大阪学院大(7年ぶり3回目)
写真:内田 浩嗣
-
C大阪相手に劇的逆転勝利を飾った讃岐。GK清水健太が語った意外な勝因とは?
4日のJ2第16節C大阪vs讃岐。讃岐にとって、クラブのJ通算100試合目となったメモリアルゲーム。C大阪相手に劇的な後半ロスタイム弾で逆転勝利。自身もJ通算350試合出場を達成し、喜びに満ちたGK清水健太が意外な勝因を口にした。
讃岐は10分に失点を許し、幸先の悪いスタートを切った。しかし、後半に2得点を挙げて逆転。終了間際に同点に追い付かれたものの、その直後に再び勝ち越すというドラマのような展開だった。
最大の勝因は勇気を持ってラインを高く保てたこと。偶然の勝利ではなく、狙いを持ってC大阪戦に向けて練習してきた努力の結果だ。だが、前述したとおり、開始早々に失点。ラインを高く保とうとして裏のスペースを突かれ、2失点目を許せば早々に試合が決する怖さもあったに違いない。
しかし、清水健太は言う。「そうですね。ただ、何て言うんですかね…。その怖さよりも、チームにとっては北野監督や上村さん(ヘッドコーチ)の圧のほうが怖いので。勇気を持ってやれたと思います。良い圧が掛かったと思います(笑)」。最後は笑いながら、“俺は何を言っているんだ”といった表情で取材に応じていた。真面目な清水からこんなウィットに富んだコメントが出るくらい、最高の気分だったのだろう。そして、常に笑いの絶えない讃岐色に、昨季加入のシミケン(清水の愛称)も染まってきたなと感じさせた試合後のミックスゾーンだった。
文:柏原 敏 -
ハリルが国内組に要求。「まだ何人かの選手が体脂肪で問題がある」
キリンカップ決勝、ボスニア・ヘルツェゴビナ戦に向けた会見でヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、現在のチームの“海外組と国内組の差”を強調した
「特に国内組に要求したいことがある。まだ何人かの選手が体脂肪で問題がある。もしかしたら、それが原因でA代表にいられないかもしれない。海外組はシーズンが終わったばかりで疲労が溜まっているが、国内組はまだまだ十分な準備ができていない選手が何人かいる。代表でプレーしたければ、できるだけ早く個を伸ばさないといけない」
また、それはハリルホジッチ監督が要求する激しいプレー面にも及んだ。
「練習中も、国内組は長い時間インテンシティーについてこられない。国内組は練習レベルを高い状態に保ち続けないといけない。前回の2失点も、簡単に分析するとデュエルに2回負けた。相手のフィジカルパワーに負けた。もちろん疲労もあったが、つまり個のレベルでフィジカル的に準備できていなかった選手がいた。そこは伸ばさないといけない。もちろん海外組も全員が普段クラブで先発ではない。90分プレーできない者は、フィジカル的にトップレベルを保てない。そういう選手はしっかりコンタクトを取っていく。先発でプレーしていないならすぐに連絡して、負荷の高い個人練習をしろと伝える。ただ、どの練習も試合にはかなわないが」
やはり攻守でスピードとパワーが必要なハリルジャパンのスタイルには、1試合を通してフルパワーでプレーできるコンディション作りが不可欠。国内組の遠藤航や森重真人、またクラブで出場機会に恵まれない吉田麻也など、特に守備陣に対してはタフなフィジカルや当たりの強さをより要求していくことを示唆していた。
文・西川結城(日本代表担当)
-
本田と香川は7日のキリンカップ決勝に欠場濃厚
5日に記者会見に臨んだ日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、右ひざ裏の痛みでブルガリア戦を欠場した本田圭佑と、ブルガリア戦で2得点を挙げるも途中で右脇腹を痛めた香川真司の状態について、「われわれと一緒に戦って欲しいが、(プレーが)難しい状況だ」と語った。
実際に5日の練習には二人とも姿を表さずに、ホテルでの調整となった。香川は今朝病院で検査を受けており、現時点では日本は両エースを欠いたままボスニア・ヘルツェゴビナ(7日・吹田スタジアム)との決勝に臨むことになりそうだ。
文:西川結城(日本代表担当) -
ハリルホジッチ監督、母国ボスニアとの決勝に「勝ちにいく」
日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督が5日、キリンカップ決勝のボスニア・ヘルツェゴビナ戦(7日・吹田スタジアム)に向けた公式会見を行った。
3日に愛知県豊田市で行われたブルガリア戦を7-2で勝利した日本代表、4日に大阪に移動。会見後の17時30分から練習を行っている。
会見でハリルホジッチ監督はブルガリア戦について「私も7点も取るとは想像していなかった。準備した練習通りの攻撃ができた」と高く評価したが、すぐに次の大事な決勝戦に向けて警鐘を鳴らした。「ただその素晴らしい試合はもう終わった。ボスニアはFIFAランキングも20位とレベルが高い。相手は日本までの移動で疲れていたが、2試合目なのでコンディションは良くなっているだろう。ブルガリアよりボスニアのほうが強い」。
ボスニアといえば、ハリルホジッチ監督の母国(現在はフランス国籍も取得)。縁の深い相手となる。
「本当にスペシャルな感情がある。ボスニアは第一の母国。知っている関係者もたくさんいる。しかし、フットボールでは勝ちにいこうと思う。グラウンド上では勝利したい。1試合目に勝利し、目的がさらに上がった。ブルガリア戦の出来を、2試合目でもう一度確認したい。次も7点取ることは難しいが、まだまだ向上していく」(ハリルホジッチ監督)
文・西川結城(日本代表担当)
もっと見る