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大けがから復活した清水のFW大前元紀が復帰戦で鮮やかなFK。「しっかり結果を出せたので良かった」
J2第31節・清水vs山形の試合がIAIスタジアム日本平で行われ、左第5・6・7・8肋骨骨折と肺挫傷の大けがを負った清水のFW大前元紀が6月8日のJ2第17節・町田戦以来、約3カ月ぶりの出場を果たした。
大前は2-0で迎えた77分、FW金子翔太に代わって出場。82分にゴール前でFKのチャンスを得ると鮮やかなシュートを決め、復帰戦を自らのゴールで祝った。その後、清水は山形に1点を返されたが、3-1で勝利した。
試合後、大前は「3カ月ぶりにこのピッチに帰ってきて、またユニフォームを着てプレーできたというのは良かったと思う。待ってくれている人も応援してくれている人もいた中で、しっかり結果を出せたので良かった。一緒にやってきた選手やトレーナーという人たちにも感謝したい」と笑顔で話した。そして「チームを外から見ていた中でいろいろなことを感じたし、サッカーをしたいと純粋に思えた。そういう気持ちがまたサッカーがうまくなる糧になればいいと思う。僕がけがをしてからもみんな頑張ってくれているし、良い順位で戦ってきてくれている。今後もチームがもっと良い方向に進めたらいい」と残り11試合に向けての意気込みも語った。
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『とにかくアルウィンのピッチに戻るんだ』。松本の田中隼麿が網膜剥離から3カ月ぶりに復帰
松本の田中隼磨が戦列に戻ってきた。
今季、開幕から6月4日に行われたJ2第16節・北九州戦までフル出場を続けていた田中。しかし、第17節・札幌戦を欠場すると、6月8日に右眼裂孔原性網膜剥離の手術を受けたことが発表された。
それから約3カ月。再びピッチに戻ってきた田中は、負傷前と変わらない姿でグラウンドを駆け回り、京都相手に2-0の勝利に貢献した。
試合後には「こうやって、またアルウィンのピッチに戻ってくることができてすごくうれしいです。眼の病気になってから、『とにかくアルウィンのピッチに戻るんだ』という強い気持ちでここまでやってきました。アルウィンのピッチに立てて、ファンやサポーターの声援を聞くことが目標の一つだったので、実際に帰ってこられたんだなと強く思いました」と、ホームのサポーターの前に戻ってこれた喜びを口にした。
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[書評]読むサッカーvol.11 『プレミアリーグ観戦レシビ』
“解説歴20年”の熟練レシピ。プレミアリーグの美味しい食べ方
プレミアリーグ史上最強宣言。
92年に発足した当初は決して恵まれたリーグではなかったが、いまでは世界的に最も魅力的なリーグの一つに数えられるのがイングランドのプレミアリーグである。今季はジョゼ・モウリーニョやジョゼップ・グアルディオラら欧州きっての名将がそろう。その25年目を迎えるプレミアリーグを、解説業やコメンテーターとしてお馴染みの著者・粕谷秀樹が、レシピを料理していくかの如く歯に衣着せぬ物言いで紹介していくのが本書である。
「カネでつくられました」
これは第4章でクラブ別の紹介をしていく際に、マンチェスターCを表現する中で最初に出てきた言葉である。ウィットに富んだジョークと皮肉をたっぷり含んだ言葉の数々は、本書を彩るスパイスとでも言おうか。72年の初春に前身のイングランド・リーグに衝撃を受けた著者による44年の“愛”が、この一冊には詰まっている。
選手や監督、金、協会、クラブ。プレミアリーグ観戦にあたり、人によって見方や切り口はいくらでもある。それを本書では観戦術や注目選手、クスッと笑えるトリビアを含めて、あらゆる視点から掘り下げ、その魅力を存分に伝えている。例えば、クラブの総資産などはよく目にするが、代理人に支払った報酬額なんてなかなか知ることができない。タイムリーな話題では英国のEU離脱の影響に触れているのも面白い。最多降格回数を誇る選手の紹介といった深い知識からくるネタの多さは“解説歴20年”の著者だからこそ伝えられる醍醐味と言えるだろう。
近年、プレミアリーグは群雄割拠の時代に入っている。昨季は誰も予想しなかったレスターの躍進があったように、今季も数々のドラマがピッチ内外で繰り広げられるだろう。プレミアリーグが好きな人もそうでない人も、この一冊をテレビ観戦の傍らに置いておけば、いつもと違う風景がそこには広がっているはずだ。
文:林遼平(エルゴラッソ湘南、東京V担当)著者:粕谷 秀樹(かすや・ひでき)
発行:8月10日/出版社:東邦出版/価格:1,400円(本体価格)/ページ:264P