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柏の山中亮輔、甲府戦で復帰へ。「最初からどんどん飛ばしていく」
天皇杯3回戦・愛媛戦(1◯0)の120分の激闘から中2日で、今節・甲府戦を迎える柏。この試合に向けて1週間の準備期間があった甲府に対して、日程面での不利は否めないが、下平隆宏監督は「よっぽど体調が悪いとかでない限りは使う」とベストメンバーで臨むことを示唆している。
注目は、2ndステージに入り、全試合に先発していた輪湖直樹が累積警告の影響で出場停止になる左SBに誰が入るか。
普通に考えれば山中亮輔が入ることが濃厚で、本人も「けがが多かった中でやっと巡ってきたチャンスなので、最初からどんどん飛ばしていこうと思っている。それで90分戦い切れれば自信にもなるので、しっかりその辺を含め走り切りたい」と意気込む。
先発出場となれば、けがを負ってしまった1st第11節・川崎F戦(1●3)以来となるが、背番号6は「全力で楽しみたい。攻撃的な部分を出して、アシストやゴールという結果を残せるようにしっかり準備していきたい」と話し、得意のFKについても「クリス(クリスティアーノ)もいるので、獲得した位置によって話し合いながら決めたいと思うけど、チャンスがあれば狙っていきたい」と意欲を燃やした。
今季はけがで苦しむなど、ここまで悔しいシーズンを送ってきた山中だが、その実力に疑いはない。2ndステージも残り5試合と佳境を迎える場面で満を持して登場するレフティーに期待したい。
文:須賀大輔(エル・ゴラッソ柏担当)
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岡山の竹田忠嗣、鹿島戦の敗北を前向きに捉え、前を向く
22日に行われた天皇杯3回戦の鹿島戦(1●2)。先制点を挙げて勝機を見いだすことはできたが、後半に2失点して逆転負けを喫した。竹田忠嗣は「勝って自信とか勢いにつなげたいと思って臨んだ試合。いろいろあったが、結果がすべてなので、負けは負けと受け止めて帰ってきた」と話す。
楽しかったという鹿島の攻撃陣とのマッチアップ。多くのチャンスを作らせたわけではなかったが、ミスを突かれる形で失点した。「そういうところでしっかりと点を取ってくるのがJ1のチーム。各々がやれたところとか、足りなかったことを感じていると思うので、それを今後に生かして力を発揮できるようになっていければ」と竹田は前向きに捉えている。
すぐ25日に長崎戦が控えている。鹿島戦はリーグ戦と多くの選手を入れ替えて臨んだ中で竹田は連戦となるが、「自分ができる準備はしっかりとやったので、(疲労は)そんなに気にはしていない」と頼もしい。
長崎の攻撃陣は有力者がそろう。得点ランキング3位の永井龍やJ1での実績十分のペク・ソンドンが相手になるが、「そういう選手とやるときは、いつもまず自分がどこに行きたいのかということを考える。そこで自分がやれなかったら上には行けないと思ってやっている。ある意味、楽しみながらやっているし、自信を持ってやりたい」と語った。
文・寺田弘幸(エル・ゴラッソ岡山担当)
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日本に来るきっかけは小野伸二。ヨン・ア・ピンが楽しみに待つピッチ上での再会
11年夏、カルフィン・ヨン・ア・ピンの携帯電話が鳴った。その電話の声の主は、当時清水エスパルスの監督を務めていたアフシン・ゴトビ氏からだった。
「キャラ(ヨン・ア・ピンの愛称)、日本でプレーしないか?」
突然のオファーにヨン・ア・ピンは難色を示した。当時はオランダのトップ5のクラブに入ることを目標にしていたし、ELなど欧州のステージでも活躍したかったからだ。しかし、ゴトビ氏から発せられた言葉に、その気持ちは一気に日本行きへと傾いた。
「小野伸二もいるし、ユングベリ(スウェーデン代表)も来るよ」
あの小野伸二と一緒にプレーできる。「OK、OK」とヨン・ア・ピンは二つ返事で清水入りを了承した。
「小野伸二はオランダでトッププレーヤーだったし、フェイエノールトでUEFAカップを制覇したときのプレーを見ていて、『すごくうまいなー』と思っていた。そんな彼とプレーできるなんて、夢のようだったよ」
あの日、あのとき、ヨン・ア・ピンの電話が鳴らずに、小野伸二が清水でプレーしていなかったとしたら――。ヨン・ア・ピンが町田のユニフォームを着ることはなかったかもしれない。
「シンジ(小野)を自由にプレーさせたら、良いパスが出てくるから警戒したいね」
ヨン・ア・ピンは今節・札幌戦、小野とのピッチ上での再会を楽しみにしている。
文:郡司聡(エル・ゴラッソ町田担当)
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大宮の山越康平、高校の先輩・富山貴光との対戦に気合十分
25日のリーグ戦で大宮が対戦する鳥栖は、豊田陽平、ムスタファ・エル・カビルの両FW出場停止に伴い、昨季まで大宮に所属した富山貴光の先発が見込まれているという。
一方の大宮も横谷繁、河本裕之が出場停止。CBの河本の代役に抜擢される見込みの山越康平にとって、富山は矢板中央高の先輩にあたる。大宮でチームメートとなることは叶わなかったが、互いに出場機会を得るタイミングでの対戦は巡り合わせの妙を感じさせる。
もともとFWだった山越は富山に憧れ、矢板中央高に進学した経緯がある。矢板中央高では実力と人間性の両面で逸話を残していたという富山に対して、プロのピッチで持てる力をぶつけたいところだ。
「先輩だけど絶対に負けてはいけないし、守備の部分でやらせないという部分を見せたい。1stステージの対戦でも強さを感じたし、ペナルティーエリア外からのシュートも決めてくるので怖い。厳しく行って前を向かせない守備をしたい」(山越)
狙うのは無失点での勝利。「これから上に行くためには大事な一戦だし、これまで3連勝がないので、なんとしても勝利が欲しい」と語る山越のプレーに注目だ。
文:片村光博(エル・ゴラッソ大宮担当)
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磐田のDF石田崚真がプロA契約
磐田はDF石田崚真とプロA契約を締結したことを発表した。石田は下部組織出身でプロ2年目。昨年の天皇杯1回戦・北陸大戦でプロデビューを果たし、今年8月28日に行われた天皇杯1回戦・FC岐阜SECOND戦でプロA契約締結条件を満たしていた。
石田はクラブを通じて「プロサッカー選手として、スタートラインに立てたことは、うれしく思います。これからも日々努力して、チームに貢献できるように頑張ります」とコメントしている。
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けが人続々復帰の名古屋。指揮官も「とても良い状態」と手ごたえ
一時はけが人であふれていた今季の名古屋だが、ここに来て離脱者がほとんどいない状況となった。
以前から復帰している青木亮太などの長期離脱組に加え、今週には矢田旭らも本格合流。練習のピッチに姿を見せていない選手は体調不良の扇原貴宏のみとなり、今週のゲーム形式練習では複数の選手構成も見られている。
24日の囲み取材に応じたジュロヴスキー監督は「この2、3週間でけが人もいなくなった。選択肢はたくさんある」とコメント。今節・仙台戦に向けた必勝の言葉とともに「お互いの競争意識も芽生えると思うし、とても良い状態だ」と、今後に向けての健全な競争原理も期待した。
J1残留に向けて厳しい状況にあることは確かだが、チーム状態が上向いていることもまた間違いない。
文・村本裕太(エル・ゴラッソ名古屋担当)
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けがから復帰したC大阪・杉本健勇に先発の可能性が浮上
24日、C大阪は、J2第33節・徳島戦に向けて最終確認を行った。その中で、コートを狭めて行われた11対11では、Aチームと思われるチームに杉本健勇と清原翔平が入る時間帯もあり、けがから復帰後、そろって先発復帰の可能性が浮上した。
練習を終えた杉本は、「(先発の)準備はできている。体力的に90分持つか分からないけど、先発で出たら最初から出し切りたい。控えにも良い準備をしている選手は多い。シーズン前からラスト10試合が一番大事になると思っていた。残り10試合、全部勝てば勝ち点30(を積み上げられる)。狙う気持ちで戦う」と強い決意を示した。
今節は、2位の松本と4位の清水の直接対決もあるだけに、C大阪は勝てば2位浮上の可能性もある。「誰かが点を決めないと勝てない。全員が自分が決める気持ちを持って戦うことが大事」(清原)という攻撃陣の奮起に期待が懸かる。
文:小田尚史(エル・ゴラッソC大阪担当)
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磐田の名波浩監督が湘南戦の4バックを明言
磐田の名波浩監督は24日、今節のJ1・2nd第13節・湘南戦で4バックを採用すると明言した。
この日の練習ではセットプレーの確認を主に行った。主力組のビブスを着た面々を見ると、[4-2-3-1]の布陣で戦うことになりそうだ。
大井健太郎が負傷離脱中、パパドプーロスは出場停止とCB二人を欠く状況だが、名波監督は「元々4バックにするつもりだった」と言う。さらに「湘南戦はイメージ的に4バックだなと。相手は3バックを変えないと思う。間、間に顔を出してボールを受けられれば」と語った。
湘南は10連敗中で、何ととしてでも勝ち点3をつかむという気持ちで向かってくるはず。とはいえ、磐田だって負けられない。降格圏とはまだ差があるとはいえ安心はできない。残留争いのライバルをホームで下し、3ポイントを上乗せしたいところだ。
文:青木務(エル・ゴラッソ磐田担当)
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鹿島にまたけが人。伊東幸敏離脱で新潟戦の右SBはファン・ソッコが濃厚に
25日に新潟とのアウェイ戦を控える鹿島は24日の練習で、右SBの主力組にファン・ソッコが入った。22日の天皇杯3回戦・岡山戦(2◯1)は伊東幸敏がそのポジションに入ったが、15日の練習で肩を痛打していた。岡山戦後、同じ個所に再び痛みが出たことで出場を回避。急遽、ファン・ソッコが起用されることが濃厚となった。
これで右SBは西大伍と伊東の二人を失うだけに、監督としても厳しい選択を迫られる。ほかにも、遠藤康、中村充孝が戦列を離れており、昌子源も腰を痛めている状態。あと2試合を終えればしばしの中断期間を迎えるため、けが人が続出しているこの状況をなんとか乗り越えたい。
文:田中滋(エル・ゴラッソ鹿島担当)
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“師匠“との再会を経て、神戸MF三原雅俊「負けられないですよね」
22日の天皇杯3回戦・神戸vs山形戦では、一つの再会があった。本職はボランチで、この試合では右サイドハーフを務めた神戸の三原雅俊と、その三原が“師匠”と呼ぶ山形のボランチ・松岡亮輔だ。二人は07年に神戸に加入した同期。この試合で松岡は後半から出場してPK奪取と1得点。三原は前半、素早いパス出しなど攻守に躍動し、互いに見せ場を作った。
試合後のミックスゾーンで、松岡に三原について聞くと、「あいつとはね、同期で、(年齢は三原のほうが)4つ下なんですけど、同じポジション。(三原は)僕の筋トレの方法を取り入れたり、互いに切磋琢磨してきた」と教えてくれた。
松岡の言う“筋トレ“とは、彼が阪南大在学中から実践してきた初動負荷のトレーニングのこと。三原は言う。「神戸に入って1〜2年のころ、亮くん(松岡)に(そのトレーニングに)連れて行ってもらった。だからいまは8年目かな。追い求めるのは、亮くんみたいに絡みつきながらしなやかにボールを奪うこと」。ただ、三原は激しくぶつかるプレースタイルだけに、筋力増強は欠かせない。自分なりの方法で、しなやかなに動く身体づくりにトライしているという。
松岡はこうも言っている。「あいつ(三原)もレンタルに行って、武者修行を繰り返して信頼を勝ち得ている。それは彼の努力の賜物だと思う」。三原は09年に金沢、13年に長崎への期限付き移籍を経験し、いま神戸の主力として2ndステージ制覇へのチャレンジを続ける。「亮くんも頑張ってる。負けられないですよね」。三原は気持ちを高ぶらせていた。
敗戦を悔しがった松岡と同じく、三原もまた、自身がPKを与えてしまったことに唇をかんでいる。束の間の再会で育まれたのは、乗り越えて行くことへの強い意志。この1試合にサッカーの魅力が存分に詰まっていた。
文・写真:小野慶太(エル・ゴラッソ神戸担当)