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岡山を支えるベテラン・加地亮が語るJ1昇格の秘訣。「プレッシャーを楽しめるかどうかが大事」
J2は14試合を終え、リーグ全体の3分の1を消化した。
岡山はJ1自動昇格圏の2位につけているが、DF加地亮は「勝ち点を拾えていることはいいが、内容には全然満足していない。問題だらけだと思っている」と、自分たちへの評価は辛口だ。しかし、「それでいいのかなと思う」と言い、加地はこう続けて語った。「勝ちにこだわって、勝ち点を積み上げていく中で修正していく。順番的にはそういう感じでいい。いまは各選手で思うことがいろいろあると思う。それぞれに『こういうサッカー(がやりたい)』というのはあっても、(いまは)方向性を合わせることが大事。一つのボールに対してしっかりと連動して動こうという意志の確認はしっかりとしていきたい」。
そして、「絶対に勝たないといけないという雰囲気は出ている。それはすごく良い」と話す36歳のベテランは、「ただ、これが変なプレッシャーにならないように。プレッシャーを楽しみながらできるかどうかが大事」と先を見据えた。
リーグが3分の1を終えた段階で2位につけているのは、岡山のクラブ史上初めてのこと。これから未踏の地を歩んでいこうとしているクラブにとって、百戦錬磨のベテランの存在は頼もしい限りだ。
文・寺田弘幸(岡山担当) 写真:芥川和久 -
守備のリスク大だけど…。J王者・広島に“新オプション”が誕生か!?
5月21日に行われたJ1・1st第13節・G大阪戦(1●3)。2点のビハインドの状況で森保一監督は71分に佐藤寿人を投入してシステムを変更に踏み切った。佐藤と皆川佑介で2トップを形成し、ピーター・ウタカと柴﨑晃誠がシャドーに並ぶ、“2トップ2シャドー”でゴールを奪いにいった。結果としては、ピーター・ウタカが得点を奪ったが、G大阪にも加点されており、大きな効果を生むことはできなかった。ただ、森保監督は「悪くなかった」と評価している。
守備時のリスクが大きいことも考えると“2トップ2シャドー”のオプションはあくまでスクランブルになったときの使用に限られるが、ミキッチと柏好文のサイドアタックを生かすこと、佐藤と皆川の二人の有能なストライカーを生かす意味でも、面白いオプションになる。「寿人さんと練習から2トップを組むことが多くて、お互いに要求し合って良さを出せるようになってきている」と皆川。J1・1st第14節・福岡戦も浅野拓磨は不在。今後もリオ五輪によって背番号10が不在の試合が多くなることが予想されるだけに、“2トップ2シャドー”の新オプションが今後どうなっていくのか、興味深く見守りたい。
文:寺田 弘幸(広島担当) 写真:六川 則夫
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金沢と松本の北信越ダービー。金沢のDF作田にとっては縁多き一戦
金沢は28日、ホームで松本との“北信越ダービー”を戦う。昨季天皇杯2回戦で対戦(1●2)しているが、Jリーグでは初対戦。北信越リーグ時代からの通算対戦成績は、金沢の5勝1分10敗。チーム唯一の石川県出身選手で、主将のDF作田裕次は「昨季も(天皇杯で)負けている。(これまでの)勝率は悪いが、今までとは違うところを見せたい」と意気込む。
「宮阪とは同じチーム(山形)でやっていたし、高崎とは大学時代のリーグ戦のころ、何回もバチバチやっていた。大分時代の監督、コーチの田坂さん(松本コーチ)とは今回初めて敵として対戦する」(作田)。かつてのチームメート、筑波大時代に火花散らした駒沢大出身の高崎、大分で2年間お世話になった田坂コーチ。作田にとって縁多きダービーになりそうだ。
そして、「水戸にいたときは北関東ダービーがあった。水戸、群馬、栃木でダービーをやって、ホーム&アウェイで一位を争っていた。九州ダービーは同じ九州の中に何チームもあるので、応援の熱気は両チームから伝わってきた」とこれまでのダービー経験を振り返った作田。「ダービーはアウェイにもたくさんの人が応援に来るし、サポーターもすごく熱くなる」と語る。
クラブ関係者によると、26日現在、およそ8,000人の観客動員が見込まれる今週末。金沢は北信越ダービーで、09年の全国地域サッカーリーグ決勝大会以来となる白星を挙げられるか。
文:野中拓也(金沢担当) -
さすが山の神。山形の守護神・山岸がポジティブな声をかけ続けた理由とは?
山形で26日に行われた紅白戦では主力組が3失点。練習後に感想を聞かれた石﨑信弘監督は「良かったよ。あれだけミスをしてくれると、本番で集中するじゃろう」と逆説的に表現した。
「ずっと負けてるチームだったら『おいっ!』となると思います」(林陵平)という状況で殺伐とした雰囲気にならなかったのは、山岸範宏やディエゴが「大丈夫、大丈夫!」、「ネガティブな空気を出さない!」と前向きな声をかけていたためだ。
その理由について山岸は、「怒っても意味がないから。それに多く発言しても全部が全員には通らないので、一番何を言うのがチームにとって有効かを常に考えて言うようにしています」と説明した。それと同時に、「ポジティブな声をかけたことに対して、呼応する選手がもっと増えないといけないです。まだまだそういうところが未熟だと思います」とチームキャプテンらしく問題点を指摘していた。
文:佐藤円(山形担当) 写真:徳丸篤史
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「試合よりも〇〇が見たくて」。J2町田の相馬監督がナビスコカップの中継を見た理由とは?
J2町田の指揮を執る相馬直樹監督だが、25日夜はナビスコカップ第6節の神戸vs名古屋の中継を見ていたという。理由は「試合よりもグラウンドが見たくて」(相馬監督)。町田は28日に、熊本のホームゲームをノエビアスタジアム神戸で行うことになっている。普段はJ2で使われることのない会場でもあり、指揮官ならばピッチ状態が気になって当然だ。
昨夏は芝の状態が悪く、神戸のネルシーニョ監督の意向もあって、一時ホーム開催の試合がユニバ記念競技場へ会場変更になるという事態も発生したノエスタ。しかし、スタジアム関係者の努力や、季節的な理由もあり、現時点で特に不安はないようだ。相馬監督は「普通にボールは動いていたし、現状はきれいになっている。力を発揮できる舞台は整えていただいたと思っている」と良好なピッチ状態に対する安堵と感謝を口にしていた。
文:大島 和人(町田担当) 写真:徳丸篤史
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「自分にとって大事な2年間」。古巣戦を前に水戸時代を振り返る讃岐の馬場賢治
今季、水戸から讃岐へ移籍してきた馬場賢治。28日に行われる水戸との古巣戦を目前に控え、いまの心境を言葉にした。
馬場にとって水戸で過ごした2年間は「どうやれば自分らしくやっていけるのかが、はっきり見えた部分が多かった」時期。水戸のファン・サポーターにも「みなさんが一緒に戦ってくれている雰囲気をすごく感じていて、いつもすごく助けてもらいました」と感謝の気持ちは絶えない。
「自分にとって大事な2年間でした」と水戸時代を振り返る馬場だが、試合となれば「少しも勝利を譲る気はないです」と言う。その言葉には、「自分がというよりも、讃岐が良いプレーをして勝って、“良いチームだなと思わせること”が恩返しの一つだと思っています」という『漢 馬場賢治』らしい思いがあった。
文:柏原敏(讃岐担当) 写真:松本隆志(讃岐担当)
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「将来の代表に必要な選手」(ハリルホジッチ)。浅野拓磨、トゥーロン国際を途中離脱しキリンカップへ
6月3日と7日に行われるキリンカップサッカー2016を戦う日本代表メンバー25名が発表された。代表に初選出となったのは磐田のMF小林祐希(24)と川崎FのMF大島僚太(23)。また広島のFW浅野拓磨が久々の選出となった。
現在、トゥーロン国際大会(フランス)に参戦中のU-23日本代表。大島と浅野は手倉森監督率いるチームに参加中で、今夏のリオデジャネイロ五輪に向けて最後の大会に臨んでいる。大島に関しては「明日(27日)にでも帰ってきてほしかったが、最後までU-23代表に残って、その後に合流する」(ハリルホジッチ監督)予定だという。しかし、浅野は「明日に帰国する予定で、代表の合宿に(初日から)参加してもらう」と、30日から愛知県内で始まる全体練習に合流することになった。昨日のU-23ギニア代表戦では45分間プレーした浅野。すぐに帰国の途につき、次はA代表に加わる。
すぐに呼び寄せたのには理由があるようだ。ハリルホジッチ監督は、大島については「今回の試合で彼がプレーするかどうかは分からない」と話している。あくまで一度近くでプレーを見てみることが目的のようだ。ただ、同じU-23組でも浅野の場合は違った。「初めて彼を見た時から、日本で唯一(相手の)背後に抜け出せる選手だと思った。浅野は将来代表に必要な選手。長所、短所ともにあるが、まだ21歳。ゴールゲッターになるためのすべての要素がある」とべた褒め。さらに「なぜ私が浅野を好きなのか。それはDFの背後を取れるから。私はFW出身なので、そのプレーが理解できる」と、好みの選手であることまで明かし、今大会の起用を示唆した。
50mを5秒台で走る俊足ストライカー。リオ五輪でも活躍が期待される浅野だが、一足先に、キリンカップでの活躍にも期待が懸かる。
文:西川結城 写真:六川則夫
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21位に沈む北九州を変えたい。練習場に響いた珍しい二人の声
J2第15節の徳島戦を前にした練習で“珍しい声”を2日連続で聞いた。
オフ明けの25日、「5対5」と「6対6」のポゼッション練習では、どちらかと言うと黙々とプレーするタイプの八角剛史が「もっとボールに行けよ!」「早く切り替えろって!」と何度も厳しい口調で味方にゲキを飛ばした。理由は「町田戦の前の練習では皆でやろうという気持ちが伝わってきたが、そこで久しぶりの勝利を挙げるとホッとしたのか練習の雰囲気がまた緩んだので、意識的に声を出して自分なりのメッセージを伝えたつもり」(八角)だった。昨年末に両足首の手術を受けて長いリハビリに務め公式戦復帰まであともう少しという状況にある八角が、チームの状況を何とか変えたいとの思いで出した声だった。
翌26日の紅白戦では主力組のボランチに入った花井聖が大きな声でFWの原一樹と小松塁に指示を飛ばした。「普段声を出すタイプではないのですが、それまでの試合をベンチから見ていて攻撃から守備への切り替えが遅いことが気になっていたので、その場面で意識的に声を出すようにしました」と言う花井は、今節・徳島戦で9試合ぶりとなる先発の可能性が高い。“珍しい声”は、チームの変化を望む気持ちが込もったものであると同時に自らへ喝を入れる意味もあったに違いない。
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群馬に加入したFW平秀斗、紅白戦で早速アピール
鳥栖から群馬に育成型期限付き移籍してきたFW平秀斗が24日の練習からチームに合流、26日のトレーニングでは紅白戦のサブ組で気迫の入ったプレーを見せた。
合流直後の平は「攻撃的な選手なのでゴールにこだわってプレーすることで、チームの勝利に貢献したい」と話した。
平のプレーを見守った服部監督は「アグレッシブな選手だと思う。前でもサイドでも適正がある気がするが、いろいろ使い方を試していきたい。ただ、試合勘が戻っていないと思うので、そこは課題だ」と慎重な姿勢を見せた。
文:伊藤寿学(群馬担当)
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磐田MF小林祐希が代表初選出!ハリルへアピール誓う。「(試合で)使いたいと思わせたい」
(写真)番記者陣にお祝いのケーキをもらって笑顔を浮かべる小林
磐田の小林祐希が26日、日本代表に初選出された。代表選出の感想を聞かれると「驚き半分、期待していたぶん『入ったか』という気持ちも半分。そんなに超びっくりという感じではなかった」。また「俺以上に家族や応援してくれる人たちがうれしかったと思う。みんなが喜んでいる顔を思い浮かべるとうれしさがこみ上げてくる」と、自身を支えてくれる周囲への感謝を口にした。
24歳での初のA代表入りだが、本人は遅かったと感じている。「幼稚園生の時に立てた目標では、19歳で入る予定だったので」。それでも、ようやくつかんだチャンスだ。「(ハリルホジッチ監督に)使わせたいと思わせたい。コイツがいたら何か起きそうだなという気持ちにさせたい」と意気込みを語った。
磐田をけん引するレフティーは現在、リーグ戦3試合連続ゴール中と好調を維持。前節の甲府戦では、ハリルホジッチ監督が視察に訪れる中で得点を挙げていた。
文・写真:青木務(磐田担当)
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